日中融和優先し成果強調 安倍、李首相会談 「第5の文書」政治遺産狙う

西日本新聞 国際面 川原田 健雄 鶴 加寿子

 【成都・川原田健雄、鶴加寿子】安倍晋三首相は25日、中国の李克強首相と四川省成都で会談した後、3日間の訪中日程を終えて帰国した。安倍氏は訪問中、香港情勢や沖縄県・尖閣諸島周辺の領海侵入について中国側に繰り返し苦言を呈したが、習近平国家主席を国賓として日本に招く方針は変えないまま。外交得点となる中国との関係改善を優先する姿勢が目立った。

 「中日は地域の大国であり、健全かつ安定的な関係発展を希望する」。李氏が25日の会談で呼び掛けると、安倍氏は「日中関係は順調に改善している。習主席の国賓訪日の成功に向け、大局的で忌憚(きたん)のない意見交換をしたい」と応じた。

 日本側の説明によると、安倍氏はこの日も尖閣諸島問題や混乱が続く香港情勢について問題提起したという。「相手が嫌がることを言えるのは日中関係が改善している証拠」と外交筋はみる。

 安倍氏にとって習氏の国賓待遇は、支持基盤である保守層の離反を招く恐れもある。それでも推し進めるのは、外交で政治遺産(レガシー)を残すためとの見方が出ている。具体案として浮上しているのが、今後の日中関係を定義する「第5の政治文書」作成だ。

 日中両国は1972年の日中共同声明など過去に四つの重要な政治文書を交わしており、実現すれば「戦略的互恵関係」を掲げた2008年の日中共同声明以来となる。既に水面下で安倍氏側近が中国側と接触しているとされる。

 中国では昨夏ごろまで締結に慎重論が根強かったが、米国との貿易摩擦など環境が変化。日本との関係改善を急速に進めており、第5の政治文書についても「条件が熟せば締結に異存はない」(孔鉉佑駐日大使)と意欲的だ。中国側は、香港情勢などを巡る安倍氏の一連の指摘を快く思っていないとみられるが、習氏の国賓訪日を実現するため、苦言を受け流した格好だ。

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