国家公務員の研修で講演する機会を何度か頂いた…

西日本新聞 オピニオン面

 国家公務員の研修で講演する機会を何度か頂いた。行政のプロに門外漢があれこれ言うのもおこがましいが、一つだけ伝えたいことがあった。「公僕と書いて『サムライ』と読んでください」

▼武士の本分は忠義を尽くすことだが、真のサムライは忠より義に重きを置かねばなるまい。義のない忠は、ただの主(あるじ)へのおもねりだ

▼憲法15条は<すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない>と定める。公権力を行使する責任の重さは、サムライの覚悟に通じよう。忠義を尽くす主は国民。サムライの魂といえる腰の二本差しは法令と公文書である

▼その矜持(きょうじ)はいずこ。もり・かけ問題、自衛隊の日報隠し、統計不正、「桜を見る会」…。不都合な事実をなかったことにしようと、最も大切にすべき公文書を隠す、捨てる、改ざんする。役所の利益や自身の出世と保身のため、制度上の主である政治家への忖度(そんたく)が横行する

▼極め付きはこの不祥事か。かんぽ生命保険の不正を巡り、監督すべき総務省の事務次官が処分内容を日本郵政側に漏らしていた。相手は先輩次官の日本郵政上級副社長。絵に描いたような天下りの弊害だ

▼「勇気を持って公僕の義を貫き、国民の信頼を失わないで」と講演では話した。けれど、堕落した高級官僚の姿を最も腹立たしく、情けなく思っているのは、現場で誠実に国民と接している大多数の公務員の皆さんだろう。

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