日韓関係の改善 首脳の対話継続で道探れ

西日本新聞 オピニオン面

 安倍晋三首相と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が中国で会談した。懸案の元徴用工問題や日本の対韓輸出規制で具体的進展はなかったが、国交正常化以来最悪とされる関係から抜け出し、対話によって問題解決を目指すことで一致できた意味は大きい。

 両首脳の正式な会談は1年3カ月ぶりである。これを転機として、両首脳のリーダーシップでさまざまなレベルの対話を継続させなければならない。

 今年の夏から秋にかけ、両政府は互いの立場を主張する強硬な応酬に終始した。その結果、関係は極端に悪化し、内閣府が先週発表した世論調査では韓国に「親しみを感じる」との回答が26・7%まで落ち込み、過去最低となった。

 韓国では日本製品の不買運動や訪日旅行の回避が続く。九州を訪れる外国人の半数を占めていた韓国人の減少は長崎県・対馬をはじめ各地の観光に打撃を与えた。経済活動だけでなく地方自治体や民間の交流にまで停滞を招いている。両首脳はこれを重い教訓とすべきだ。

 今回の会談に至った潮目の変化は、10月に来日した韓国の李洛淵(イナギョン)首相(当時)と安倍首相の会談だった。その後、韓国が日本との軍事情報保護協定の破棄を延期し、日本も貿易規制の協議に応じるなど少しずつ歩み寄っている。

 ただ、根本的な課題は、関係悪化の発端となった元徴用工問題の解決である。会談で、安倍首相は「日韓請求権協定で解決済みの問題」と日本の基本的な立場を伝え、韓国側の責任で解決策を示すよう促した。

 日本側の説明では文大統領は問題解決の重要性に理解は示したものの、新たな提案はなかったという。正面から反論をしなかった点に、関係改善を目指したい意向もうかがえる。

 韓国国会の議長は、日韓の企業と個人の寄付金を元徴用工らに支給する内容の法案を提出した。関係者からの批判も強いが、韓国側から出てきた問題解決の具体的な提案である。日本側も静かに見守りたい。

 その上で、両首脳には相互の信頼醸成を求めたい。文氏は歴史認識問題で積極的に国内調整を図ってほしい。前政権が日本と合意し設置した慰安婦財団を一方的に解散するなどの判断に日本側の不信は根強い。その解消が先決だ。安倍氏も、韓国国民の日本統治へのわだかまりを無視したような態度が反発を招いている点を自覚すべきだ。

 日韓が協力できる分野は多岐にわたる。今回、軍事挑発を繰り返す北朝鮮に連携をアピールしたのもその一つだ。こうした実績を着実に積み重ねる努力こそ大切だ。

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