繊維片から難事件を解決 微細物鑑定の辻田明さん 科捜研のリアル❼

西日本新聞 押川 知美

 Q これまでの連載で防犯カメラの映像解析などのすごさは分かったけど、こうした証拠がない場合、解決は難しくなりますか?

 「諦めるのは早いですよ」。西日本新聞「あなたの特命取材班」通信員の質問に、福岡県警科学捜査研究所(科捜研)の辻田明さん(48)が応じた。

 「化学第2科」で、現場に残された繊維やガラス、プラスチック、時には土砂や植物片といった微細物の鑑定などを担当する。「小さなものはすべて対象。物言わぬものに、物を言わせます」

 北九州市で4年ほど前、高齢女性がはねられる重傷ひき逃げ事件が起きた。容疑者は逮捕されたが否認。ドライブレコーダーや防犯カメラの映像はなく、捜査員は衝突の立証に苦戦していた。

 容疑者の軽トラック左前輪の奥にわずかに付着していた繊維片を辻田さんが鑑定したところ、女性が着ていた服と同種の繊維と判明。事件解決への第一歩となった。「交通課や鑑識課が苦労して微細な資料を集めてくれたおかげ。総合力でしたね」と振り返る。

 衝突時のスピードが速いほど、繊維にも衝撃がかかり証拠としての状態は悪くなる。持ち込まれる多数の繊維片の中から比較的良い状態のものを探し出し、鑑定技術を駆使して困難をクリアしていく。

 「顕微鏡でないと見えないような小さな試料の先に、被害者の姿を想像しています。無念の思いに応えたいですから」。穏やかに目を細めた。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ