食品トレーは必要?“くるりポイ”巡り議論広がる 消費者、店側の声

西日本新聞

 スーパーで肉や魚を買った客が、商品のラップをくるりと外して中身を包み、トレーは店内のごみ箱にポイ。この「くるりポイ」行為を報じた「あなたの特命取材班」の記事を受け、インターネット上で容器包装のあり方が議論になっている。プラスチックごみ削減が国際的な課題となる中、消費者は何を求めているのか。意見の一部を紹介する。


 記事をヤフーニュースで公開した11月、コメント欄には約4700件の意見が寄せられた。「私も見た」との目撃情報、マナー面や衛生面で問題視する声に加え、議論は「なぜ『くるりポイ』をする人がいるのか」にも及んだ。

 理由の一つに挙がったのが、トレーの分別収集の分かりにくさだ。容器包装リサイクル法は市町村に分別収集の「努力義務」を課しており、対応はさまざまだ。

 福岡市では燃えるごみだが、北九州市では資源ごみ。白色トレーを分別する自治体もあり、「洗浄や乾燥に手間がかかりすぎて、店に捨てる人もいるのだろう」と推測する意見も。来年7月からはレジ袋の有料化が義務付けられる予定だが、「トレーがかさばって持参した買い物袋に入りきらない」との不満も噴出していた。

 家庭ごみを減らしたい高齢者の事情も垣間見えた。「買った物をカートに積み、バスで家まで運ぶ。少しでも荷物を減らしたい」「有料のごみ袋がすぐ満杯になる。ごみ出しも大変」

 商品の見栄えを良くする「上げ底トレー」、野菜や果物を保護する「念のためトレー」、個包装の菓子をさらに包む「おもてなしトレー」などの丁寧すぎる包装についても、店側に簡素化を求める意見が相次いだ。

 一方で、店側にも言い分があるようだ。

 「無駄な経費になるトレーなど、本来なら自分たちも使いたくない」

 「レジを素早く通して客の待ち時間を短縮し、クレームを最小限にするための店側の気遣いでもある」

 「消費者のニーズである衛生的で均一化された品質、安定価格を実現するために、中間センターで食材処理や包装をする仕組みができあがってきた。変えるには、不便やコストアップを容認する消費者の意識の変化も必要」

 確かに「野菜が少しでも傷んでいると苦情が出るので、トレーに入れる」というコメントもあり、多様なニーズの板挟みとなっている様子だ。

 しかし、消費者からは「トレーか袋かを選べるといいのに」「簡易包装でトレーに載せて売り、トレーは店が回収を」などのアイデアも。容器持参で買いたいという声や、トレー価格の上乗せを容認する声も少なくなかった。

 不便やコストアップを受け入れる意識改革は、少しずつ進んでいる。

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真空パックの簡易包装をする店も

 一部のスーパーは既に、肉を袋詰めにした「ノントレー販売」を導入している。

 関東で展開するディスカウントスーパー「オーケー」(横浜市)は約10年前から、主に鶏肉、ひき肉、豚肉の切り落としをポリ袋や真空パックで販売している。トレーに比べ資材コストは削減できるが、設備投資や人件費などを含めると、コストアップするという。

 だが客の反応は「家庭ごみが減った」「環境に配慮している」と上々。担当者は「店内のごみ箱がトレーで満杯になることもなくなり、狙い通り」と話し、今後の商品開発でも簡易包装を進めていく考えだ。

 全国でスーパー「西友」や「サニー」を運営する西友(東京)も、2009年から肉の一部を真空パックで販売している。トレーやラップの使用量は4年間で26%減少。今年11月には鶏肉の新商品を発売し、さらに年間8トンの削減を見込んでいる。

 西友がノントレーに取り組むのは、親会社の米小売り大手「ウォルマート」が、環境負荷の少ない経営を目指していることが背景にある。しかし、メリットは環境面にとどまらないという。

 西友によると、海外産の肉を現地で真空パックにすることで、消費期限が従来より4日程度長くなり、加工や流通の中間コストも削減でき、商品価格を約10%下げられた。

 価格競争には限界がある。「環境負荷に配慮」という新たな魅力で他店との差異化を図っている。(山田育代)

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