海外での津波遭遇 、警報が鳴らないことも とにかく高い場所へ避難を

西日本新聞 くらし面

 ◆新局面 災害の時代―後悔しない備え❹

 年末年始を海外で過ごす予定の読者もおられると思います。では、旅先の外国で津波が来ると分かったとき、どう対応しますか。

 ちょうど15年前、2004年12月26日、クリスマス休暇の観光客でにぎわうタイ・プーケットやモルディブなどインド洋沿岸が、大津波に襲われました。約23万人もの犠牲者を数えたスマトラ沖地震津波です。

 インドネシアのアチェ州では約17万人が犠牲になりました。支援と調査で何度も現地入りした私たちは、地元の協力を得て津波の高さを示すポールが付いた記念碑を85基建立しました。慰霊とともに教訓を次世代に伝え、災害の記憶の風化を防ぐのが目的です。

 今、振り返ると、母国で津波の経験がなく、Tsunami(津波)という単語すら習ったこともないドイツや北欧の旅行者が大勢犠牲になりました。でも、たとえ知識があったとしても逃げられなかったと思います。震源から離れたタイ以西の国々では、地震の揺れを感じないまま突然、押し波が襲ってくる遠地津波だったからです。

 これを教訓に国際社会が協力して津波早期警戒警報システムを設立し、地震の揺れを感じなくても沿岸で警報が鳴るようになりました。でも一部地域では沿岸に警報機が無い場合もあります。ご注意ください。

 残念なことに日本でも、この警報システムは火山活動や海底地滑りに伴う津波には対応できていません。インドネシアで昨年12月、クラカタウ火山の噴火による山体崩壊で津波が起き、犠牲者が出ましたが、警報は作動しませんでした。

 とにかく海外で地震の揺れか発生情報に接したら、沿岸にいる場合はすぐに高い場所や頑丈な建物を見つけて避難してください。

 逃げる方向を示す津波避難の標識は、世界標準として統一されていません。日本は色覚障害者に配慮して緑色ですが、バリ島などインドネシアは主にオレンジ色。北米などは青色です。

 避難を意味する英単語「Evacuation」は覚えておいてください。さらにご関心のある方は、英語版の拙著「災害ハンドブック」をダウンロードして活用ください。地震の規模や震源、津波警報を海外で確認するには、アメリカ地質調査所(USGS)が発する世界の地震速報が便利です。

 実は、ハワイ、ロサンゼルスなど北米西海岸、チリ、フィジー、ギリシャ、トルコ、イタリア、ポルトガル、ニュージーランドなども、研究者にはなじみの津波常襲地帯なのです。

 みなさま、自然災害に対する安全にも注意され、良いお年をお迎えください。(九州大助教) 

 ◆備えのポイント❸
 ユネスコスクール掲載「災害ハンドブック」 http://www.unesco‐school.mext.go.jp/muzfaw70p‐230/

 アメリカ地質調査所の地震速報マップ https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/map/

 ◆すぎもと・めぐみ 京都府出身。京都大大学院修了。東京大地震研究所特任研究員などを経て2014年から九州大助教。専門は防災教育、災害リスクマネジメント。編著に「九州の防災 熊本地震からあなたの身の守り方を学ぶ」

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