元副大臣逮捕 「カジノの闇」全容解明を

西日本新聞 オピニオン面

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に絡む収賄容疑で秋元司衆院議員が東京地検特捜部に逮捕された。

 事業参入を目指す中国企業側から、便宜を図ってほしいという趣旨を知りながら現金300万円と約70万円相当の利益供与を受けた疑いが持たれている。

 秋元容疑者は「一切身に覚えがない」と否認しているが、事実とすれば、大掛かりな複合施設に巨額の資金が動くとされる「カジノ利権」の闇の部分があぶり出されたことになる。

 秋元容疑者は自民党を離党した。検察は中国企業側の3人を贈賄容疑で逮捕するとともに、関係先として別の同党衆院議員と前衆院議員の2人の地元事務所も家宅捜索した。全容解明へ徹底した捜査を求めたい。

 秋元容疑者は2017年8月から18年10月まで内閣府副大臣としてIRを担当し、観光施策を所管する国土交通副大臣も兼務した。現金と利益供与を受けていたのはこの時期に当たる。

 また国内で禁じられていたカジノの解禁を目指す超党派議員連盟のメンバーだったほか、16年12月に衆院内閣委員会でIR整備推進法案が可決され、国会で成立した際は衆院内閣委員長として法案審議を取り仕切っていた。カジノ解禁とIR推進の旗振り役だったと言えよう。

 安倍晋三政権はIRを成長戦略の一つと位置付けている。富裕層など外国人観光客を呼び込み、観光振興の起爆剤にして、経済の活性化と雇用の創出を目指す。そんな触れ込みである。

 しかし、カジノ解禁論議の当初から反対論は強かった。ただでさえ社会問題化しているギャンブル依存症の人がさらに増えるのではないか。犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されないか。立地地域の治安は悪化しないか。そもそもカジノを解禁してお金を稼ぐ発想が成長戦略と言えるのか-といった疑問や批判である。

 長崎県をはじめ横浜市、大阪府・市、和歌山県の4地域が誘致を表明する一方、反対運動は今も各地で続く。いくら法律や制度が整備されても、国民的な合意がきちんと形成されていなければ、実際の立地や運営は困難だろう。ここは、いったん立ち止まり、IRの在り方を冷静に再検討すべきではないか。

 政府は来年1月にカジノ事業者の免許審査などを担うカジノ管理委員会を内閣府の外局として発足させ、20年代半ばに開業する日程を描くが、今回の事件で国民の目が一段と厳しくなるのは当然である。結果的に収賄容疑で逮捕された国会議員を副大臣に起用した安倍首相の任命責任が再び厳しく問われることは言うまでもあるまい。

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