快適職場 個性化で生産性アップ【続・産業医が診る働き方改革1】

西日本新聞

 西日本新聞は2018年、北九州市の産業医大の教授陣が執筆した「産業医が診る働き方改革」を32回にわたって連載し、ウェブで公開しました。今回は、その続編です。「続・産業医が診る働き方改革」と題して計15回、毎週土曜にウェブで公開します。続編の内容を加えた単行本の増補改訂版を1月末に刊行します。

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 快適職場については1992年にその指針が出され、「1日のうちの多くの時間を過ごす職場に植栽の設置や絵画の掲示などを行い、生活の場としての潤いをもたらしましょう」という項目がありました。さて、そのような職場環境への取り組みとは別に、仕事をすることが楽しくなる職場について考えてみましょう。

 仕事で使う道具(文房具、机・椅子などの什器類、コンピューター機器、工場での道具類、土木・建設業ではショベルカーといった重機類など)を自分の好みの色やデザインにするのはどうでしょう。実際に自分の好きな写真をパソコンの背景画面にしたり、アニメなどのキャラクターが描かれた文房具を使ったりしている人も多いことでしょう。また、街中で時々見掛ける建設作業に用いられる小型ショベルカーの色が1990年代からパステルカラーになっています。

 このように道具の色や模様を「楽しいもの」に変えても、道具そのものの機能は変わりません(電源オンは緑といった機能色は別)。しかし、〝ヘドノミクス〟(ギリシャ語で楽しさを意味する「ヘドン」と法則を意味する「ノモス」をあわせた造語)を提唱する米国のハンコック教授(認知人間工学)は「個人的相互作用の効率と楽しさを最大限にするために個々人が自分の道具をカスタマイズすること」を個性化と呼び、「従来型」人間工学の次に来る目標を示しています。個性化の要素がある職場はヘドノミック職場といえ、生産性も上がるかもしれません。

 また快適という概念とは多少異なりますが、近年、座りすぎによる健康影響が注目されるようになっています。立位でも仕事ができる昇降式作業机を導入する企業が増えており、職場のみならず、アメリカでは小学校の生徒用にも導入されています。これは一見、「疲労が少ない人間工学的」オフィスに逆行するような取り組みに思えますが、腰痛予防など健康の観点からのメリットは大きいようで、新しい快適職場の一つの形態といえるかもしれません。

(産業医大・三宅晋司)

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