慢性閉塞性肺疾患 生活習慣で予防【続・産業医が診る働き方改革3】

西日本新聞

 江藤博さん(76)=仮名=は、高校を卒業して小さな建設会社に入り、65歳まで働きました。20歳からたばこを吸い始め、ホコリっぽい仕事もしましたが、健康診断では異常はありませんでした。

 数年前から動くと息切れがあり、右胸も痛いので、総合病院にかかりました。胸部CTでは「肺気腫と右胸の胸膜が厚くなっている」との説明を受け、呼吸機能検査で「慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん、COPD)」と診断されました。気管支拡張薬の吸入薬を処方され、呼吸はだいぶ楽になりました。

 入院して右胸の厚くなった胸膜の検査をしたところ、「悪性胸膜中皮腫(あくせいきょうまくちゅうひしゅ)」との診断でした。担当医から詳しく過去の職業歴や粉じんばく露歴を聞かれました。若いときにマスクを着けずにアスベスト(石綿)の吹き付け作業をしていたので、それが原因で悪性胸膜中皮腫になったのではないか、と説明されました。

 アスベストは繊維状の鉱物ですが、間質性肺炎の一種の石綿肺や胸膜中皮腫などの病気を起こします。悪性胸膜中皮腫の診断には若い頃からアスベストを吸入しているなど働く環境の情報が非常に重要で、手術や抗がん剤などで治療しますが、根治は難しい病気です。

 アスベストはいったん吸入するとずっと肺にたまるため、吸入しないように予防するしかありません。産業医は危険な物質について職場の作業環境を管理して予防します。また、悪性胸膜中皮腫には労災や環境省の救済措置などの社会保障制度があります。

 COPDはたばこを吸って(ばく露)、肺がスカスカになり(肺気腫)、気管支が細くなって苦しくなる肺の病気です。呼吸機能検査で診断され、気管支拡張薬で治療すると息切れは良くなり、さらに禁煙で予防可能です。また、アスベストなどの職場のばく露とたばこを両方吸ってしまうと悪い相乗効果がありますが、産業医はこのような禁煙などの生活習慣についても助言してくれます。(産業医大・矢寺和博)

PR

医療・健康 アクセスランキング

PR

注目のテーマ