骨粗鬆症 運動能力を身に付ける【続・産業医が診る働き方改革4】

西日本新聞

 「まさか自分が骨折するとは思いませんでした」。食品加工工場内のちょっとした段差につまずいて転倒し、手首を骨折した田中琴江さん(58)=仮名=が外来の診察室で嘆いていました。今回、手術を受けましたが、術前に行った骨密度検査で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)であることが判明し、「骨粗鬆症による骨折」という説明にショックを受けていたようです。

 骨の強度が低下し、軽微な外力でも骨折しやすくなった状態のことを骨粗鬆症といいます。その原因には、加齢、閉経、生活習慣(運動不足、食生活など)、喫煙、飲酒、関節リウマチやステロイド薬の使用などがあります。特に加齢による骨密度(骨の量)の低下は、程度の差はあっても誰にでも起こり得ます。骨粗鬆症による代表的な骨折には、橈骨遠位端(とうこつえんいたん)、骨折(手首の骨折)、椎体骨折(背骨の骨折)、大腿骨近位部骨折(足の付け根の骨折)があります。

 女性は、閉経後のホルモンバランスの変化により急激な骨密度低下をきたすことがあります。田中さんは、地方自治体で行われている骨粗鬆症検診を一度も受けたことがありませんでした。まずは自分の骨の状態を把握しておくことが大切。骨粗鬆症と診断されれば、治療を受ける必要があります。

 中高年の骨折には骨粗鬆症とともに転びやすさが関係しています。田中さんは普段の運動不足を後悔していました。転倒しないように、日常生活で運動習慣を身に付けるとともに、職場でも始業前に体操の時間をつくることが大切です。

 田中さんが今回骨折したことは不幸なことだったかもしれません。ですが、会社の産業保健スタッフの協力もあり、仕事にも復帰できるとのこと。これを機会に、運動習慣を身に付け、骨粗鬆症の治療をして丈夫な骨をつくっておけば、今後の人生でさらなる骨折を防止することができ、十分に働けて、将来寝たきりにならなくて済むと思います。今回の経験を無駄にせず、今後の人生に生かすことができるのです。(産業医大・酒井昭典)

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