ながら運転 しない、させない意識を

西日本新聞 オピニオン面

 スマートフォンなどを使いつつ車を走らせる「ながら運転」の罰則が今月から、厳しくなった。それでもスマホを手にした運転者が大きく減ったとは感じられない。世の中の意識改革はまだこれからなのだろう。

 年末年始に家族や知人を乗せてハンドルを握る人は多い。取り返しのつかない事故を起こしてからでは遅い。「ながら運転」はしない、させないという強い意識を社会で共有したい。

 道交法が改正され、反則金などを引き上げ、懲役刑も拡大する厳罰化が実現した。

 運転中の携帯電話での通話や画面を注視する違反である「携帯電話使用等(保持)」の反則金は、従来の3倍前後に上がった。普通車の場合は6千円から1万8千円となった。違反を繰り返した者には「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」を科すことが可能になった。

 さらに通話や注視で「交通の危険」を生じさせる違反は、反則金納付で刑事責任を免れる制度の適用から除外し、直ちに刑事手続きの対象となった。

 結果の重大さを考えれば、厳罰化はやむを得ないだろう。今回の法改正のきっかけを思い出してほしい。愛知県で2016年、スマホ向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」をしながら運転していた男のトラックに、男児がはねられ死亡した事故だった。運転者の義務を放棄し、何の落ち度もない幼い命を奪った罪の重さは計り知れない。

 スマホの機能は日進月歩で多様化している。運転中でも、メールの着信や自動配信されるニュース速報などが気になることはあろう。スマホをカーナビとして使う人も少なくない。

 とりわけ年末年始は交通渋滞にも巻き込まれやすい。のろのろ運転だからと、つい手にするのは危険である。電源ごと切るか、駐車場以外では絶対に触らないなど強い意志が必要だ。

 警察庁によると、自動車が1秒間に進む距離は時速20キロでは約6メートル、同80キロでは約22メートルという。まさに一瞬で凶器に変わり得ることを示している。

 運転中にメールを確認しようと、携帯電話の画面に3秒ほど目をやった結果、歩行者を死亡させてしまう。そんな事故が後を絶たない。昨年、携帯電話やカーナビの使用が一因となった交通事故数は2790件で、死亡事故は42件だった。事故数は5年で約1・4倍に増えた。

 道交法では「軽車両」に分類される自転車の「ながら運転」も、罰則が伴うことを忘れてはならない。初詣といった年末年始に混雑する場所での「歩きスマホ」も危険だ。生活に欠かせなくなってきたスマホにも負の側面がある。心に刻みたい。

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