【ひと】「屠体給餌」に取り組む大牟田市動物園の飼育員 伴和幸さん

西日本新聞 総合面 吉田 賢治

 害獣駆除されたシカなどを、最低限の加工だけでライオンやトラなどに与える「屠体(とたい)給餌」。福岡県大牟田市動物園で中心的な役割を担う。その取り組みは動物園の飼育環境を豊かにする「環境エンリッチメント大賞2019」(NPO法人市民ZOOネットワーク主催)でインパクト賞を受賞。今月あった表彰式では記念講演も行った。

 動物園では普段、皮や骨を除いた肉片を餌に与えている。しかし、それではすぐに食べ尽くし飼育動物の行動の多様化、幸せにはつながらない。一方で駆除動物の9割が廃棄されている現実がある。屠体給餌を扱った米国の論文を読み「双方に利点がある仕組みを日本でも」と考えていた。九州大の獣害対策研究者との出会いを機に17年、一緒に非営利団体を発足させた。

 人と動物の感染症対策のための低温殺菌技術や、動物の形そのままの給餌の公開が嫌悪感を与えないか、といった課題を研究。入園者アンケートで好意的な意見が多いことが分かり、年末までに計23回実践してきた。「与えられた動物はとても興奮し、奥歯で引きちぎるなど、いつもと違う行動をする。実践を重ね、動物にどんな影響を与えるかを論文にまとめたい」

 全国の動物園に広げるため、マニュアル整備にも取り組む。殺菌処理などに経費がかかり、普段の餌より高額になるのが課題で、園は「屠体プレゼント募金」も始めた。「普及していけば、動物園が身近な野生動物を考える場所により近づくと思う」

 横浜市の水族館勤務を経て、14年3月から大牟田市動物園。32歳。 (吉田賢治)

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