平和祈る千羽鶴を和紙に 長崎原爆資料館が保管、佐賀の工房が再生

西日本新聞 一面 梅本 邦明

 佐賀県重要無形文化財の工房「名尾手すき和紙」(佐賀市大和町)が、長崎原爆資料館(長崎市)にささげられた千羽鶴を和紙に再生させる。資料館は千羽鶴を大量に保管しており、活用策に苦慮。工房は折り鶴を使ったポストカードを試作中で、新たな命を吹き込み、佐賀、長崎から平和のメッセージを発信する。

 資料館には毎年、修学旅行生らから千羽鶴が多く寄せられる。長崎市によると2018年度の千羽鶴の総重量は758キロ。館の入り口近くに1年ほど飾るが、その後は「子どもたちの善意を簡単には処分できない」と倉庫に保管している。

 これまで長崎市の紙卸売業者が名刺台紙などに再生させたが、糸やホチキスなど異物の仕分けの手間や費用が壁となった。受け入れ先の確保は簡単ではなく、「大量にあって活用が追いつかない」(資料館)のが現状だ。

 名尾手すき和紙7代目の谷口弦さん(29)は12月、千羽鶴を灰にして焼き物やお香を作る長崎県波佐見町のまちおこしグループ「金富良舎(こんぷらしゃ)」から相談され、段ボール1箱分の折り鶴を譲り受けた。

 名尾和紙は地元のカジノキを原料に使用。カジノキの繊維をかき混ぜる際に、ぬらした折り鶴を入れる。和紙と混ざると折り紙のカラフルな色が散らばって仕上がるという。

 谷口さんは小学6年の修学旅行で長崎を訪れ、千羽鶴を贈った。今年亡くなった祖父からは「名尾の工房からも原爆のきのこ雲が見えた」とのエピソードを聞いた。「佐賀の人にとっても長崎の原爆は忘れてはならない身近なこと」

 約300年の伝統を誇る名尾手すき和紙だが、現存するのは谷口さんの工房のみ。技術を後世に伝承しようとする自身の思いが、平和の誓いを風化させまいとする長崎の思いと重なったように感じたという。

 ポストカードは来年1月24日開幕の長崎ランタンフェスティバルに合わせての販売を目指している。谷口さんは「いずれは平和祈念式典の招待状なども作りたい。原爆の被害に思いをはせ、平和の尊さを考えるきっかけになればいい」と願いを込めた。 (梅本邦明)

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