「孫死亡」の保険金、受取人は高齢客 かんぽで不自然な契約相次ぐ (2ページ目)

西日本新聞 一面 宮崎 拓朗

■高齢者頼みの営業背景に 苦情なければ調査せず

 子や孫が死亡したら高齢者が保険金を受け取る-。かんぽ生命保険で不自然な契約が相次いでいる背景には、高齢者頼みの営業姿勢がある。顧客にとって不利益になった可能性は高い。内容を理解しないまま加入した高齢者は多数いるとみられる。

 「お孫さんへの思いを形にしましょう」。多くの場合、郵便局員はこうした営業トークで高齢者を勧誘していたという。しかし保険対象となる被保険者は子や孫のため、契約した高齢者が死亡しても保険金は出ず、満期で受け取れる金額も支払った総額を下回るケースが多い。

 関西の局員は「子や孫のためなら、保険料分を貯金しておいた方がずっと良い」と打ち明ける。

 かんぽの主力商品である貯蓄型の養老保険は近年の低金利で、商品としての魅力が薄れている。高齢者の中には高金利だった時代の記憶から「元が取れる」と誤解している人が依然多いという。九州の元局員は「高齢者は郵便局を信頼している。支払額などを詳しく説明しなくても契約してくれるため、不正が広がっていった」と話す。

 かんぽが昨年7月から重点的に調査している約18万3千件の「特定事案」は、新旧の保険料を二重払いさせるなど乗り換え契約に伴う事案に限られる。それ以外の事例では基本的に、顧客側が苦情を申し出ない限り調査は行われない。

 外部弁護士による特別調査委員会や金融庁の調査では、被保険者を定期的に変えて新規契約を装う「ヒホガエ」や、契約内容を理解しない高齢者らに多数の保険に加入させるなどの不正も確認されている。金融庁は昨年12月27日に出した業務停止命令の中で、特定事案以外についても顧客に不利益を生じさせた可能性のある契約を特定して対応するよう、かんぽ側に命じていた。

 かんぽは業務停止命令の期限である3月末までに特定事案の調査を終える方針だが、不正な営業が疑われる1万2836件のうち調査を終えたのは昨年12月15日時点で2487件にとどまる。これとは別に約20万人の顧客から苦情や相談が寄せられ、その精査についてもめどがたっていない。

 日本郵政グループの3社長が引責辞任し、6日から新体制がスタートする。失った信頼を取り戻すためには、顧客一人一人に寄り添った徹底した調査が求められる。 (宮崎拓朗)

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