韓国・文政権、正念場 4月総選挙、敗北なら死に体に

西日本新聞 総合面 池田 郷

格差拡大、若年層が反発

 【ソウル池田郷】韓国では4月15日、国会議員300人を選ぶ総選挙が行われる。昨年11月に任期5年の折り返しを過ぎた文在寅(ムン・ジェイン)大統領への国民の中間評価となり、革新系与党の共に民主党が敗北すれば政権はレームダック(死に体)化し、対日姿勢がさらに硬化するなどの恐れもある。格差や就職難が深刻化する中、与党は若年支持層の離反を懸念。保守系最大野党の自由韓国党も朴槿恵(パク・クネ)前大統領が弾劾で失職した影響を引きずる。次期大統領選もにらんだ各党の前哨戦が過熱している。

 「若い世代の絶望感がいつになく高い」。革新系紙のハンギョレは、総選挙を前に危機感を強める共に民主党関係者の声を報じた。若年層に経済的な不満が高まっており、今回の総選挙では「世代交代」がキーワードの一つになりそうだ。

 韓国の昨年10月の失業率は若年層(15~29歳)が7・2%で、全世代平均の3・0%を大きく上回る。労働時間の上限を週52時間とする働き方改革や最低賃金の大幅な引き上げなど企業の人件費増につながる文政権の経済政策は、若年層の雇用を減らす逆効果を生んだとの批判もある。

 チョ国(グク)前法相が娘の不正入学疑惑などで辞任に追い込まれた問題も「公正社会の実現」を金看板とする文政権への若い世代の期待を裏切った。事件の影響で、チョ氏ら韓国社会の中枢を占める1980年代の民主化運動を経験した世代への風当たりも強まっており、世代交代論に拍車を掛ける。

 しかし、対する自由韓国党も支持の広がりを欠く。候補者の若返りを図るなど文政権への批判票の受け皿を目指しているが、支持者の高齢化が顕著だ。社会格差に不満を抱く若年層は、保守勢力を権力や富を不当に継承する既得権益とみなす傾向もあり、党勢回復の道は険しい。

 同党は、親友による国政介入事件で弾劾に追い込まれた朴前大統領との距離の置き方にも腐心している。与党だった4年前の総選挙で旧セヌリ党(現自由韓国党)は、朴氏に近い「親朴派」の候補者を多く公認したことで内紛が起きて大敗。現在も親朴派と反朴派の対立の火種がくすぶる。

 韓国の大統領は再任できないため、総選挙で各党は次期大統領選も視野に入れて候補者を選ぶ。文政権を支える李洛淵(イ・ナギョン)首相は近く退任して共に民主党の要職に就き、総選挙に出馬する構え。李氏は、朴前政権の首相で自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表が出馬する選挙区に立候補する意欲をにじませており、注目の激戦区になる可能性がある。

【韓国の総選挙】韓国国会は一院制で任期4年、解散はない。定数300で、小選挙区253と比例代表47を選挙で選ぶ。小選挙区の候補者と支持政党に投票する1人2票制。昨年12月の公職選挙法改正で連動型比例代表制を導入。比例のうち30議席は小選挙区当選者数と政党得票率に基づき配分され、少数政党に有利とされる。

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