帝釈天の参道が初詣でにぎわう東京・葛飾柴又の正月には…

西日本新聞 オピニオン面

 帝釈天の参道が初詣でにぎわう東京・葛飾柴又の正月には、だんご屋さんに列島のどこかから届く年賀状が欠かせない

▼「わたくし、柴又におります日々は思い起こすだに恥ずかしきことの数々…」。ふらっと舞い戻っては騒動を起こしてぷいと出て行き、そのうちまたふらっと、を繰り返す映画「男はつらいよ」シリーズが、50作(公開中)を数えるのはなぜか

▼答えを探して作家や映画研究者が本にしてきた。大学教授(聖書学など)の著作もある。表題が意表を突く。「寅さんとイエス」(米田彰男著、筑摩選書、2012年)

▼著者が発見した意外な類似性を紹介するスペースはないが、ある牧師は山田洋次監督との対談で「寅さんに学びます」と話したそうだ。牧師が例えて挙げたのは第40作で独り暮らしのおばあさんと山里で知り合う場面。寂しさを埋めてあげようと奮闘努力する。寅さんは困っている人を見たら自然体で手を差し伸べる

▼とっぴなことを加えていえば、米国のハードボイルド小説の主人公が言う「男は優しくなければ生きている資格がない」は、車寅次郎の世界とも交差する

▼優しさが時代のキーワードになって久しい。女性誌が寅さん特集を組んだことがある。東京・丸の内でOLらを対象に開講された講座に「寅さん学部」ができたこともあった。思い出しながら年末に見た第50作「お帰り寅さん」の試写会は女性が多かった。

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