目標や夢をどう設定するか【しもじもの話】

西日本新聞 くらし面

 <病院でのお正月は、やっぱりちょっぴり寂しかったけど、看護婦さんと初日の出を拝んだり、三が日だけお化粧して、それなりに過ごしておりました。一日も早く穏やかな体になれますように。先生よろしくネ>

 もう30年以上前、福岡大病院に勤務していたとき、受け持ちの患者さんからいただいた年賀状です。今年も机の引き出しから出して読み返しました。私より2歳年上で、6歳の娘さんがいる方でした。転移による症状で苦しい時期でも、腹水を抜く治療を続け、決して希望を失わなかった姿を毎年思い出しています。

 脳は、目標や夢を持ったとき、それを達成するための仕組みを工夫してつくっていきます。目標達成を目指して頑張る力を生み出すのが脳なのです。

 2008年の北京五輪で、サッカー女子の「なでしこジャパン」は準決勝と3位決定戦で負け、4位になりました。そのとき佐々木則夫監督が「われわれは(ベスト4という)目標を達成していた。他の3チームは優勝を目指してきたチームだ。試合前から負けていた」と話されていました。

 目標を達成すると、脳の活性が低下します。一度満足してしまうと、すぐには十分な力を発揮することが難しくなります。これを教訓に、チームは目標を「世界一」に置き換えて練習を重ね、11年のワールドカップで見事優勝を飾っています。

 目標や夢を持つことは大切。さらに達成したときに、次の目標を再設定することはもっと大切です。そのままでは、後は下り坂になってしまいます。

 例えば男女交際のとき、あの子と性行為をしたいという気持ちからの愛情表現であれば、性行為の目標が達成されると、急にさめてしまいます。あの人と結婚したいと思っているだけなら、結婚がゴールで後はなおざりになる恐れもあります。2人でどのような時間を重ねていきたいかを考えることが、交際を長続きさせる秘訣(ひけつ)です。

 そろそろ、おとそ気分も抜ける頃。みなさんの今年の目標は何でしょうか。私は、かつての患者さんのように、どんなときも諦めない強い心を目指そうと思います。

(泌尿器科医・池田稔)

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