【あなたの米大統領選】トランプ支持が映す「分断」 データ分析

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 4年に1度の米大統領選が11月3日に行われる。最大の焦点はトランプ大統領の再選がなるかどうか。昨年11月に実施した西日本新聞あなたの特命取材班の通信員アンケートでも「どんな人がトランプ氏を支持しているのか」という根本的な質問が多く寄せられた。そこで米国内の各種世論調査からトランプ氏の支持率を人種や年齢、地域別などで分析すると、米社会が抱える「分断」の現状が浮かび上がってきた。

 トランプ氏の各種調査の平均支持率は2017年1月の大統領就任直後を除き、常に「不支持」が「支持」を上回る。ただ、昨年12月に下院で弾劾訴追されるなど苦しい政権運営が続くにもかかわらず、支持率に大きな変化はなく、4割台を維持している。背景として指摘されるのが熱烈な「岩盤支持層」の存在だ。

 ▼人 種

 その代表格は「白人」。米紙ワシントン・ポストとABCテレビの世論調査によると、白人層の半数がトランプ氏を支持する一方、黒人など非白人層の支持は約2割にとどまる。

 米国では人口に占める白人の割合が減少し、40年代には非白人が白人を上回るとみられる。白人層には少数派に転じることへの懸念のほか「移民の流入で仕事が奪われた」といった不満もくすぶる。移民流入を厳しく規制するトランプ氏への白人の評価は高い。

 一方、トランプ氏の移民政策には人種差別との批判もあり、非白人層の反発は強い。トランプ氏は「黒人やヒスパニック(中南米系)の失業率は改善した」などとアピールするが支持は広がりを欠く。

 ▼男女、年齢

 性別でみると、トランプ氏支持の割合は男性の方が高い。女性スキャンダルの影響に加え、学校での乱射事件が頻発するなど子供の安全に関わる銃規制に消極的で、人工妊娠中絶に反対の姿勢を示していることも、女性からの厳しい評価につながっている。

 年代別では、株価の上昇や低い失業率など堅調な景気を反映し、働き盛りの中高年の支持率は4割を超える。これに対し「大学を出ても好待遇の仕事が少ない」などと不満を抱く若者らの支持は2~3割で低迷する。

 ▼学歴、信条

 トランプ氏が16年の前回大統領選で勝利した要因として挙げられるのは、格差社会の不満をくみとり「既存政治の打破」を強く訴えた点だ。

 中西部などを中心に製造業の衰退が叫ばれて久しい。トランプ氏は特に地方に多い高卒の白人労働者層を念頭に「政治から見捨てられた人を忘れない」「工場を米国に取り戻す」と訴え、それが中国との貿易戦争にもつながった。こうした公約への期待は今も非大卒を中心に失われていない。

 保守を自認する層の支持は圧倒的だが、リベラル層の支持は1割前後。その傾向は高学歴や若者が多い都市部で支持率が低く、農村部や郊外では支持率が底堅い傾向と通底する。トランプ氏が地球温暖化対策を軽視することも、環境保護志向の強い若い世代の反発を招いている。

 一方でトランプ氏の経済政策は工場閉鎖や農家の自己破産を食い止めるには至っておらず「大企業、富裕層優遇」との指摘も。中低所得層の非支持率が6割を超えるのは、こうした現状への批判と言えそうだ。 (ワシントン田中伸幸)

■「選挙人」獲得数で勝敗 鍵握る「揺れる州」 トランプ氏、総得票数少なくても勝利 米大統領選の仕組み

 あな特通信員からは「選挙制度がよく分からない」との質問も寄せられた。米国の大統領選は総得票数で勝敗を決めるのではなく、全米50州と首都ワシントンに割り当てられた計538人の「選挙人」を奪い合い、270人以上を獲得した候補が当選する仕組みだ。

 2016年の前回大統領選で、共和党候補トランプ氏の総得票数は約6300万票。民主党候補クリントン氏より約290万票少なかった。しかしトランプ氏は計30州を制し306人の選挙人を獲得。232人にとどまったクリントン氏を破る番狂わせとなった。

 これは州・地域ごとの得票数が1票でも多かった方がその州・地域の選挙人を全員獲得し、負けた方は0となるからだ(一部を除く)。選挙人の数は人口に応じて配分され、最多はカリフォルニア州の55人、最少は首都ワシントンやアラスカなどの3人。

 今回の大統領選は2月から共和、民主両党の候補を州ごとに選ぶ予備選や党員集会が順次行われる。共和党はトランプ氏の圧勝が確実だ。対する民主党は中道派や左派などが乱立する大混戦。多くの州で予備選が実施される3月3日の「スーパーチューズデー」で誰が抜け出すか注目される。7月に民主党、8月に共和党が党大会を開催し、候補者を正式に決定する。

 大統領選の勝敗の鍵を握るのは選挙ごとに勝者が両党で入れ替わる「揺れる州」だ。今回はラストベルト(さびた工業地帯)と呼ばれる中西部ウィスコンシン州、ミシガン州、東部ペンシルベニア州が最激戦地と目されている。この3州は前回、民主党優位の予想を覆しトランプ氏が制した。 (ワシントン田中伸幸)

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