石川啄木は数々の情感あふれる詩句を残しているが…

西日本新聞 オピニオン面

 石川啄木は数々の情感あふれる詩句を残しているが、私生活は相当にでたらめだったそうだ。子どもの時分からわがまま放題。窮した母は最後に残るのは神頼みと、茶や卵を断って息子の性格が直るのを願った

▼借金魔でもあった。特に同郷の言語学者金田一京助への無心は再三再四。妻子は「大泥棒の五右衛門の子孫か」と、「石川」の名を聞くだけで身震いする。それでも金田一が気前よく金を渡すので、妻は外出着にも事欠くほど困窮したそうだ

▼その啄木が詠んでいる。「ふるさとの山に向ひて 言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな」。当人なりに耳に入る世評を気にし、悩むこともあったのだろう。対して、故郷はどうだ。昔と何も変わらずに迎え入れてくれる、と

▼そんな心休まる地で、年末年始を過ごした方も多いだろう。同じように元気を与えてくれただろうか。励ましてくれただろうか。帰れる温かい場所があるというだけで、十分に幸せなことだと思う

▼いとしい人を送り出したふるさとも、今は少しつらい時期だろう。つかの間のにぎやかさがプツリと消え、また、いつもの日常に戻る。祭りの後の寂しさは避けようもない

▼新年が明けて、実質今日から世の中が動きだす。休み疲れの頭と体は徐々にペースを上げていこう。そして今年一年、健康で過ごせますように。ふるさとで見守る人にとっても、何よりの願いであるから。

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