性被害相談拠点、深刻な資金不足 運営は自治体任せ、態勢に地域差

西日本新聞 社会面 斉藤 幸奈

 性暴力の被害者が相談や支援を受けられる各地の「ワンストップ支援センター」が支援員の確保や待遇に頭を悩ませる要因は資金不足にある。多くは自治体からの委託費や国の交付金で運営されているものの、国の交付金の総額は2億4700万円(2020年度予算案)。単純計算で1都道府県あたり約530万円にとどまる。支援内容は自治体予算に左右され、受付時間や人員配置などに地域差も生じている。現場からは国の交付金の拡充を求める声が相次ぐ。

 九州で最も多い年間約2600件の相談を受ける福岡県。24時間対応のため、約50人の支援員でシフトを組む。大半は時給で働くパート勤務で、ダブルワークをしている人も多い。

 運営などにかかる約4千万円のうち国の補助は780万円ほどで、残りは県などの負担。人件費は十分とは言えず運営はぎりぎりだという。担当者は「支援員の専門性を認めて、それに伴った待遇を保証してほしい」と訴える。

 熊本県のセンターは、夕方以降は支援員1人で対応している。負担軽減や安全確保のため常時2人の態勢にしたいが、予算面から難しい。相談責任者の波口恵美子さんは「安定した収入があるパートナーを持つ人でないと働けない環境。先を見据えて若い人を採用したいが、なり手がいない」と打ち明ける。

 鹿児島県では研修を受けたボランティアスタッフ約30人も支援員として活動。担当者は「人件費を出せたらいいと思うが、現状の予算では難しい」とする。

 性被害は緊急避妊薬を用いる必要性などから、被害を受けた後、72時間以内の支援が特に重要視され、夜間や休日の対応が鍵を握ることになる。全国49のセンターのうち、24時間態勢で対応しているのは福岡、熊本など約4割。福岡でも電話相談の半数以上が夕方から朝にかけての時間帯だが、人件費がかさむため多くの自治体は24時間化に二の足を踏む。宮崎、鹿児島は1日6時間、週5日で運営している。

 性被害に遭った人のうち、家族や外部機関に相談した人は約4割にとどまるという調査結果もある。どこにも助けを求められないでいる人が依然として多くいる実情を踏まえると、どの地域でも十分な支援が受けられる態勢の整備、再構築は急務といえる。 (斉藤幸奈)

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