【アフガン最新報告・中村哲医師】③外国人が破壊し、外国人が建設する

西日本新聞

 ある報告書によると、非政府組織(NGO)にもいろいろあって、マイペースで協調性がなく、ほかのNGOとあまり連絡のないのが存在する。私たちペシャワール会はこれに入るのだろう。

 一九八四年以来、パキスタン北西辺境州とアフガニスタンで医療NGOとして活動している。その悪戦苦闘ぶりは人を感動させるかもしれないが、何も私たちは人を感動させようと思ってやっているわけでない。必要とされるニーズがあるからやっているわけで、現地で求められているものに応じ、自分たちの能力に合わせて動いている。

 アフガン復興援助ラッシュで、現地には各国のNGOがやってきたが、自分や自分の国の人々を喜ばすための援助が多い。よく聞く名前のNGOが目立つ。ソマリアとかカンボジアとか、話題性があり新聞に載る所を転々とし、新聞からニュースが遠のいていけば引っ込む。小さいながらも土着で頑張っているところもあるが、話題性のある所にしか行かないようなNGOを私は信じないし、提携もしない。

 昨年九月十一日の米中枢同時テロ後、アフガン国境のペシャワル(ペシャワール会の基地病院があるパキスタン北西辺境州の州都)に世界中からNGOが集まってきた。「そのうち空爆が始まって難民がこちらに来るだろう。それを待って助けるのだ」と押し寄せた彼らに、私は「難民は来ない」と言った。来ることができる人々は、すでに始まっていた大干ばつから逃れてきていたわけで、アフガンのほとんどの貧しい人々は難民にさえなれず、国内にとどまっているほかはなかったのだ。

 空爆や対テロ戦争と同じ論理で、先進諸国がアフガン復興支援のシナリオを描いた。「遅れた貧しい人々を助けたい。タリバンの圧政から解放され、自由と民主主義がもたらされようとしている。その復興に力を貸すのだ」というのが大方の見方だろう。文明の名において、ひとつの国を外国人が破壊し、外国人が建設する。そこにひとつの傲慢(ごうまん)がひそんでいないか。アフガンの情報がきちんと伝えられず、話題性に振り回されて虚像と実像が混同されるのは恐ろしい。

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