【アフガン最新報告・中村哲医師】④東部で最終的に2000の井戸を掘る

西日本新聞

 標高四千メートル級から七千メートル級の巨大なヒンズークシ山脈が国土を占めるアフガニスタン。これまで二千万の人々が食ってこられた源は、冬の高峰に降り積もった雪が夏にとけだして、乾燥地帯の川沿いに豊かな緑を約束してきたからだ。動物も植物もここで何万年も生きてきた。

 ところが、何年か前から氷雪が少なくなり、水が消えていった。水の谷とよばれていた集落も干上がってしまった。地球温暖化と密接な関係がある。村々は砂漠化し、家畜の九割が死に、人々は村を捨てて難民化していった。

 二〇〇〇年五月、世界保健機関(WHO)は、ユーラシア大陸のど真ん中で起きているアフガン大干ばつの危機を訴え、被災者千二百万人、飢餓線上の者四百万人、餓死線上の者百万人と繰り返し警告していたが、国際的な注意を喚起できなかった。

 その二カ月後、PMS(ペシャワール会医療サービス)は、干ばつ被害が甚大だったアフガン東部のダラエ・ヌール渓谷から水源確保事業に乗り出した。砂漠化が進行するなかで、井戸掘りとカレーズ(地下水脈)の復旧に全力を挙げた。医療活動も広大な地区をカバーするようになった。

 私たちは、このような大災害が世界的な注目を集めないはずがない、援助団体が殺到しないはずがない、彼らが来るまでわれわれが頑張ろうではないか、と考えていた。二〇〇一年二月にやってきたのは、国際援助どころか、(タリバン政権に対する)国連制裁という信じられないもので、外国のプロジェクトはほとんどが引き揚げた。

 アフガンは国際社会から孤立し、見捨てられた。そして米英軍の空爆。アフガンはついていない国である。

 水源確保事業は空爆下でも続け、新たに食料配給も始めた。これまでに八百本以上の井戸を掘り、六百本以上で水を得て、三十近いカレーズを復旧した。

 干ばつは収まらない。いったん完成した井戸の再掘削を繰り返している。

 東部で最終的に二千の井戸を完成し、かんがい用水も確保しようと決めた。この春、長期的農村復興計画「緑の大地プロジェクト」に着手した。

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