【アフガン最新報告・中村哲医師】⑤豊かだった農村を自主回復するために

西日本新聞

 人口の九割が農民のアフガニスタン。PMS(ペシャワール会医療サービス)はこの春から、医療と水源確保の活動に加えて、帰還難民が昔のように自分で食べていけるよう、アフガン東部での長期的な農村復興計画「緑の大地プロジェクト」に着手した。

 アフガンはもともと果物王国、野菜王国であった。オレンジ、ブドウ、リンゴ、クルミ、アーモンドの輸出国であったのが、いまは輸入国になっている。野菜は何でも取れ、遊牧も盛んだった。これらが内戦や干ばつ、空爆で破壊された。

 水がなくては農業ができない。パキスタン側からの強引な難民帰還プログラムによって、砂漠化した農村に一万人以上が戻されているケースがあり、かんがい用の大井戸を掘り続けている。伝統的な地下かんがい水路であるカレーズの復旧も手がけている。

 PMSの診療所があるダラエ・ヌール渓谷にはすでに実験農場約八千平方メートルを確保し、日本の農業の専門家が、乾燥に強くて早めに生育、収穫できる品種の作付け、土壌改良、農具の改良などに取り組んでいる。

 作付けは、もともとあった小麦、トウモロコシ、大豆が基本だが、その土地で確実に育つ物を育てたあと、換金性が高いために栽培が盛んになっているケシ(麻薬の原料)に代わる作物、例えばブドウや茶などの栽培を試みたい。

 干ばつによって大半の農家の牛は死に、生き残っても農家の人々は牛を売って難民になっていった。アフガンでは多くの乳製品が消費されるので、乳牛を確保し、効率よく成育させるための飼料の研究などもする。人々の自活とともに、栄養状態の改善につながればと思う。

 農業と畜産の復興は当面、十年計画。戦乱と干ばつの前のような豊かなアフガンへ自主回復するための支援をしていきたい。

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