「魚カフェ」なぜ街中に? 北九州のNPO法人「生き物に興味を」

西日本新聞 ふくおか都市圏版 東 祐一郎

 魚や昆虫、植物などに関する本が1000冊以上並ぶ。「魚の内臓の仕組みが分かる本はありますか」と質問する声が聞こえる。魚やイモリなどを飼育する水槽がひときわ目を引く。北九州市小倉北区下到津5丁目に昨年12月オープンした「バイオフィリア」は一風変わったカフェだ。小倉の街中で、誰が、何のためにこんなカフェをつくったのだろう?

 広々とした店内に四つの水槽。のぞき込むと、同市中心部を流れる紫川では、もうずいぶん生息が確認されていないコイ科のカゼトゲタナゴやミナミメダカ、アカハライモリなどが悠々と泳いでいる。かつての紫川は、希少種とされる生き物が元気に泳ぎ回っていた。タイムスリップしたかのように、当時の景色が再現されている。

 店の奥には「ゲッチョ先生」の愛称で親しまれる生物研究家で沖縄大学長の盛口満さんの特設コーナーも。多数の著書や沖縄の海の虫を詳細に描いた絵などがずらりと並び、カフェのアクセントになっている。

 運営するのは水辺環境や水生生物の調査に取り組む同市のNPO法人「北九州・魚部(ぎょぶ)」だ。研究者らを講師に招くサイエンスカフェや、ワークショップも定期的に実施。飲食コーナーもあり、珍しい養殖ドジョウの唐揚げメニューも。アクセサリーなどの雑貨も並んでいる。

 NPO法人の魚部は1998年に発足した福岡県立北九州高(同市小倉南区)の部活動「魚部」が原点だ。卒業生が部活動の枠を超えて活動を広げようと市民団体に発展させた。魚類や甲殻類、昆虫の採取と記録、本の出版など取り組む範囲は多岐にわたる。

 「生物多様性アクション大賞2017」で大賞(農林水産大臣)に選ばれるなど全国でも高い評価を得ている。同部活出身の店長、工藤雄太さん(31)は「生き物に興味を持ってもらうことで自然保護につながってほしい」とカフェ設立の思いを語った。

 魚部のメンバーで放課後に足しげく通う小倉北区の中井小6年伊藤昴さん(12)は「もっと多くの人に生き物の素晴らしさを知ってほしい。そのきっかけになるお店です」と笑顔で話す。地域の自然を思う工藤さんたちの思いは受け継がれているようだ。

 営業時間は午前11時~午後8時(金、土曜は午後11時まで)。火曜定休のほか不定休。 (東祐一郎)

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