白秋の詩歌、戦前にも海外へ 「この道」など19編英訳、欧米で販売

西日本新聞 社会面 森 竜太郎

 「This is a road that I passed before(この道はいつか来た道)」-。福岡県柳川市出身の詩人、北原白秋(1885~1942)の代表作「この道」「からたちの花」など19編の詩が太平洋戦争前に英訳され、「日本童謡集」として米国や欧州で販売されていたことが分かった。白秋の詩歌は近年、海外での評価も高まり翻訳が進んでいるが、戦前にも海外で知られていたことになり、関係者に驚きが広がっている。

 童謡集は、柳川市の白秋生家・記念館の大橋鉄雄館長(67)が昨年11月末に東京・神田の古書店で見つけ購入した。生家・記念館ではこれまで戦前や白秋没前の英訳は確認していなかった。

 奥付によると1940年2月、東京の北星堂書店が発行。米国と欧州向けの価格のみが記載され輸出専売品だったとみられる。

 訳者は熊本県玉名郡出身で米国・ハワイ大に進んだ上原征生(ゆくお)。野口雨情や三木露風など当時を代表する詩人17人の計50編が収められており、白秋の作品が飛び抜けて多い。それぞれ日本語に加え、ローマ字、英訳が併記されている。上原は戦前から70年代にかけてハワイ大で日本語や日本文学を教えており、現地で日本語教育の教材としても使用したとみられる。

 大橋館長は「白秋は英訳を許諾していた可能性が高い。世界中の子どもたちに自らの詩が伝わることを期待していたのだろう」と話す。 (森竜太郎)

■白秋評の研究進む

 平井建二福岡教育大名誉教授(音楽教育史)の話 日本童謡の第一人者である白秋が生前から、海外で認識されていたことが明らかになった。日米の緊張が極めて高まっていた時期に、多くの白秋作品が英訳されていたということは、そのレベルの高さを裏付ける証拠でもある。戦前、戦後の海外の白秋評について今後、研究が進む可能性がある。

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