九電がフィリピンの離島電力に参画 九州山間部への応用探る

西日本新聞 一面 井崎 圭

 九州電力は7日、フィリピンの離島でマイクログリッド(小規模電力網)事業を手掛ける同国企業「パワーソース」に子会社を通じて出資し、経営に参画したことを明らかにした。既存の送電線網に頼らない最先端の小規模電力網を構築し、災害にも強い“地産地消型”の電力供給を目指す。東南アジアやアフリカなどでの展開を視野に入れ、人口減が進む九州の山間地などへの応用も検討する。

 フィリピンでは電気のない家庭が約160万世帯あるとされ、その多くが送電線網が届かない離島という。これらの離島では独立した電力供給網の構築が不可欠で、技術を持つ事業者は限られている。

 パワー社は2005年から離島でのマイクログリッド事業に参入。現在七つの離島でディーゼル発電を主電源にした発電事業を展開する。さらにエリアを拡大する方針だが、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用や、設備の保守技術に課題があり、パートナー企業を探していたという。

 九電は、九州の離島での発電などで培ったノウハウを生かせると判断。昨年12月に国際事業を担う子会社「キューデン・インターナショナル」(福岡市)が出資した。

 今後、パワー社へ技術者を派遣するなどして発電設備の長寿命化や再エネの出力予測技術を提供。同社と共同で再エネと化石燃料による発電を組み合わせて最適化したり、蓄電池を活用したりして経済性に優れた電力網を構築し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減も図る構え。他の東南アジアの離島や、既存の電力網が届かないアフリカの辺地などへの導入も目指す。

 九州では、人口減少が進む山間地の集落などに電気を運ぶ送電線網の維持費用が将来的に課題になると見込まれる。こうした山間部に地産地消型の小規模電力網を構築できれば、大規模発電所から送電する電線網を削減でき、大型台風など災害時の早期復旧も可能になる。九電は海外での事業の進展を見ながら、九州での活用の可能性を見極めたい考えだ。 (井崎圭)

【ワードBOX】マイクログリッド

 一定地域内で複数の電源や蓄電池、制御装置を組み合わせて送電網でつなぎ、エネルギーを供給するシステム。発電側と受電側が電力と制御のネットワークでつながれ、不安定な太陽光発電の発電量を別電源でカバーするなどしながら安定的に電力を供給する。

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