カジノ施設事業 既定方針通りでいいのか

西日本新聞 オピニオン面

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る政界汚職は拡大の様相を見せている。

 衆院議員の秋元司容疑者=自民を離党=が中国企業側から賄賂を受け取った疑いで逮捕されたのに加え、別の国会議員5人にも現金を渡したと贈賄側が供述していることが判明した。

 東京地検特捜部は昨年末、5人を任意で事情聴取した。このうち4人の自民党衆院議員は金銭の授受を否定したが、下地幹郎元郵政民営化担当相は現金100万円の受領を認め、日本維新の会から除名処分を受けた。

 下地氏は政治資金収支報告書などに記載しておらず、カジノ解禁を巡る闇の資金が政界へ流れ込む構図の一端が改めて浮き彫りになったと言えるだろう。

 事件の全容解明は捜査の進展を待つとしても、理解に苦しむのは、政界汚職が広がりを見せたにもかかわらず、IR事業を予定通りに推し進めようとする政府の強引な姿勢である。

 菅義偉官房長官は記者会見で贈賄側の中国企業について「実績もなく首をかしげざるを得ない。IR以前の問題」と述べ、政府が進める事業とは無関係という認識を示した。

 首をかしげざるを得ないのはカジノ解禁に不安を抱く国民の側だろう。内閣府副大臣としてIRを担当していた衆院議員が逮捕され、超党派でIRを推進していた議員連盟の幹部らにも疑惑が浮かんだ。

 事業の進め方に問題はないか。制度設計に不備はないか。そもそも国民の十分な理解に基づく事業なのか-。ここは事態を深刻に受け止め、立ち止まって再考するのが筋であろう。

 政府は7日、IR事業者を審査・監督する「カジノ管理委員会」を予定通り設置した。事件が政界に飛び火したのを受け、野党が設置の凍結や延期を求めていた行政組織である。

 内閣府の外局で、独自の人事や予算を執行できる独立性の強い委員会だ。事業者の運営能力のほか、暴力団を含む反社会的勢力とつながりがないかなどを審査し、カジノ免許の交付や取り消しの権限をもつ。政府は今月中に事業者選定の基本方針を定め、来年に自治体と事業者の誘致申請を受け付け、最大3カ所の整備地域を決めて、2020年代半ばの開業を目指す。

 本社加盟の日本世論調査会が昨年12月7、8両日に実施した調査によると、IRの国内整備に反対は64%で、賛成の32%を大きく上回った。調査が秋元容疑者の逮捕前だった点を考慮すれば、国民の疑問や不信は一段と高まっているとみるべきだ。

 既定方針通りに突き進むことが本当に最善の選択なのか。改めて政府に問いたい。

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