中洲のすき焼き名店、ちんやの味復活 元従業員が同じ場所で開業

西日本新聞 ふくおか都市圏版 井崎 圭

 福岡市の歓楽街・中洲で70年以上愛され、昨年夏に閉店したすき焼きの老舗「中洲ちんや」の味を継承する店が今月、同じ場所で開業した。30年近くちんやに勤めた西山幸志さん(51)が「店の味を残したい」と新たに会社を起こし、元従業員を集めた。屋号は「にしやま」に変わったが、中洲名物の“復活”に地元や全国の元常連から喜びの声が上がっている。

 ちんやは1948年に精肉店として創業、その後飲食店が併設され、九州産黒毛和牛を使ったすき焼きや洋食で人気を博した。企業の接待の場として知られたほか、大物歌手や人気俳優・アイドルらも常連だった。

 西山さんはホテルマンを経て24歳でちんやに入った。半世紀以上、店を切り盛りした2代目経営者の古賀人美さん(71)を「オーラのある経営者で、母のような存在だった」と慕い、マネジャーとして長年支え続けた。

 その古賀さんが「やりきった」と閉店を決めた時から「自分が味を継げないか」と相談。古賀さんから「あなたの名前でやるなら」と承諾を受けた。

 「にしやま」の開業場所は中洲を中心に複数検討したが「ちんやを愛してくれた人たちが一番分かりやすい所でやりたい」と同じ場所を選んだ。

 建物内部と外観は改装。座敷は足の悪い高齢客のためにテーブル席も取り入れた。すき焼きの「命」である肉などの仕入れ先、割り下などの作り方はすべてそのまま。従業員がお客さんの前で調理するスタイルも変わらない。

 ちんや時代に30人いた従業員は、閉店と同時に引退する人もいたため今は16人。人繰りの関係から現在は夜(午後5時~10時)のみの営業だ。それでも、案内状を送った元常連客が今月6日の開店初日から大勢訪れ、中には毎日予約を入れる客も。ちんやに足しげく通った会社役員の長戸亮一さん(59)は「ちんやの味がない中洲は寂しかった。引き継いでくれてうれしい」と喜ぶ。

 西山さんは、そうした元常連たちの声に感謝する一方、責任の重さに表情を引き締めた。「これからずっと『ちんや』の名前はついて回る。比較されても恥ずかしくないよう、自分たちで新しい店を築いていきたい」 (井崎圭)

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