アートで彩る「光の祭」 2万平方メートル舞台に7作品 福岡城跡

西日本新聞 諏訪部 真 藤村 玲子

 夜の城跡を光のアートで彩る「チームラボ福岡城跡 光の祭」が福岡市中央区の福岡城跡で開かれている。デジタルアート集団「チームラボ」(東京)が城跡中心部約2万平方メートルを舞台に制作した。2年ぶり2回目の今回は、新しい4点を含む7作品が来場者を光の世界にいざなう。

 福岡城は「石城」という別名がある。総延長3キロの石垣は全国有数の規模で、その石垣をキャンバスにした作品は4点を数える。

 それぞれの作品は、石と石との隙間を模様として美しく見せるため光の当て方を何度も調整するなど工夫する。作品の一つ、「石垣の追われるカラス、追うカラスも追われるカラス」は複数の八咫烏(やたがらす)が飛び回った軌跡を黒く描く。北九州市の小谷真弘さん(20)は「カラスの軌跡が滑らかで美しい」と語り、躍動的な動きに見入った。

 「大天守台跡」の巨大な石垣を使った、彩り豊かな作品「大天守台跡の石垣に住まう花と共に生きる動物達」も見応えは十分。大天守台跡の展望台からは、周辺のビル群の夜景を会場の背景として取り込んで堪能することもできる。

 今回は来場者が参加できる作品もある。「お絵かき黒田官兵衛」は、用意された武将のイラストにクレヨンで色を塗り、スキャナーで取り込むと、立体化した絵がスクリーンに映し出される。お辞儀したり踊ったりと、武将たちがユーモラスに動く。福岡市の松藤康司さん(39)は「描いた絵が立体化するのが面白い」と感想。1歳の息子と一緒に楽しんだ。

 光を放つ卵形のオブジェがひしめく作品は前回に続いて登場。「呼応する木々と自立しつつも呼応する生命」と「自立しつつも呼応する生命の森」の2作品があり、オブジェの総数は約100個から130個に増えた。触れると色が変わる仕掛けで、歓声を上げながらオブジェを押す子どももいれば、オブジェをバックに写真を撮るカップルの姿も目立った。 (文・藤村玲子、写真・納富猛)

「美の概念を拡張したい」 チームラボ・猪子寿之代表

 福岡城跡で開催中の「光の祭」を手掛けた「チームラボ」は、アートや科学など多分野の専門家の集まりで、デジタルアートを国内外で発表している。東京・お台場のデジタルアートミュージアムは圧倒的な集客力を見せ、昨年秋は中国・上海に常設ミュージアムを開設するなど勢いは止まらない。チームを率いる猪子寿之(いのことしゆき)代表は「美の概念を拡張したい」と、デジタルアートが切り開く新たな地平を見据える。

  400年超の歴史を持つ福岡城跡。展示する作品の一つ「石垣の反転無分別」は、光で石垣に黒い線を描き、石が風化することで生まれた真っ黒な影も取り込んで「書」を構成する。最新の映像技術と、積み重なった時間が一体化する瞬間。猪子代表は「人間は自分が生きた間でしか、時間の連続性を認識できない。でも、連続してきたからこそ今がある。そういうことに、城跡や石垣を通して気付ける作品にしたかった」と狙いを明かす。

  会場を見て回ると、作品と作品には明確な境界がなく、全体が一つの作品であるような感覚になる。「それぞれ独立した作品が相互に影響し、連続していることそのものが美しい、という体験ができる」と猪子代表。絵や彫刻の鑑賞とは異質な、「『どれが一番良かった?』という会話にならない内容」を目指した。

  2018年6月、お台場にオープンしたデジタルアートミュージアムも、名称の一部に「ボーダレス」を冠し、境界のない連続する作品世界を現出させた。開館1年で約230万人の来場者を集め、大半は訪日外国人が占めたという。国際的な人気は、「連続性」をキーワードとする新しいアート体験を、幅広い層が支持しているからなのだろう。 (諏訪部真)

 チームラボ福岡城跡 光の祭 2月2日(日)まで、福岡市中央区城内の福岡城跡。西日本新聞社など主催。一般1200円、中高生800円、4歳~小学生400円、3歳以下無料。実行委員会事務局=092(711)5528。

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