「鈴」神社で鳴らす意味は? 櫛田神社・博多歴史館で企画展

西日本新聞 ふくおか都市圏版 日高 三朗

 多くの方が新年の参拝を済ませたでしょうが、神社の参拝儀礼につきものなのが鈴。神鈴(しんれい)を鳴らして「二礼二拍手一礼」の作法を行うのが一般的だが、鈴を鳴らす意味は何なのか?。そんな疑問を解き明かす「鈴の世界」展が福岡市博多区上川端町の櫛田神社・博多歴史館で開かれている。3月1日まで。

作法、格式や地域で差

 鈴の歴史は古く、縄文時代には土鈴(どれい)、弥生時代の銅鐸(どうたく)が祭礼に用いられた。同神社は、鈴の謎に迫る貴重な史料を江戸末期開設の図書館「櫛田文庫」に所蔵。博多町人が学んだ古文書が数多く収められている。

 企画展では古文書を年代順に並べ、鈴の歴史を紹介している。720年成立の日本書紀には顕宗天皇の時代、来客が来た際に鐸(鐘の一種)を鳴らして天皇の取り次ぎに合図するようにしていたとの記述がある。りんとした音は権力者の威厳を示すものだったのか。

 肝心の参拝儀礼としての鈴はどうだろう。国学者の本居宣長は、古記録などを収録した随筆集「玉勝間」に伊勢神宮の参拝方法を記した。拝礼や柏手(かしわで)を繰り返す作法が書かれているが鈴は鳴らしていない。現代でも守られている。櫛田神社の阿部憲之介宮司によると、伊勢神宮など昔の官幣(かんぺい)大社(歴代天皇や皇族らを祭った国の神社)は鈴を鳴らさない社が多いという。

 ただ、江戸初期の神道辞典「神道名目類聚抄(しんとうみょうもくるいじゅうしょう)」を見ると、現在と同じ神鈴を鳴らす参拝儀礼があったことが分かる。神社の格式、地域、時代によって作法は異なっていたようで、阿部宮司は「鈴の音は参拝者をすがすがしい気持ちにさせてくれる。おはらいの意味がある」と強調した。

 企画展には医師で鈴コレクターの故井島良雄さん(福岡市中央区)が世界中から集めた鈴約100点も展示されている。長崎県平戸市で見つかったヤギ用の鐘鈴「カウベル」は、中央に十字架らしい浮き彫りが施され、隠れキリシタンが隠し持っていたとみられる。一緒に並ぶスイス製の鈴とうり二つで、長い時代を重ねて浸透してきた鈴には奥深い世界が広がっている。櫛田神社=092(291)2951。(日高三朗)

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