鹿児島知事選、行方混沌 自民県連は慎重姿勢崩さず

西日本新聞 九州+ 上野 和重

 今夏に見込まれる鹿児島県知事選(任期満了は7月27日)を巡り、県政界の動きが活発化している。昨年12月、2期目を目指す現職の三反園訓(さとし)氏(61)のほか、共に新人で鹿児島大特任助教の有川博幸氏(61)、元九州経済産業局長の塩田康一氏(54)が立候補を表明。元知事の伊藤祐一郎氏(72)も今月9日、出馬の意向を明らかにした。自民党県連は三反園氏からの推薦要請に対し、候補が出そろうまで判断を先送りするとしており、知事選の行方は混沌(こんとん)としている。

 「現職の3年半の県政運営が合格点に至らないから、こんな状況になる」。自民県議の一人は、知事選への名乗りが相次いだことをこうみる。メディア出身の三反園氏には、鹿児島を内外に発信する能力を評価する声がある一方で、知事選で公約に掲げた「脱原発」が変遷したとの批判や、相次ぐ公務の“ドタキャン”に見識を疑う声もある。伊藤氏ら3人はいずれも三反園県政に批判的で、立て直しを訴える。

 「鹿児島からもう一回、維新を起こす気持ちで鹿児島を元気にしたい」。三反園氏は6日の年頭会見で2期目への意欲を語った。ただ、選挙戦の組み立ては前回と異なる。「真・県民党」を掲げ、民進(当時)と社民両党の支援を受けたのと一転、今回は昨年12月3日の正式出馬表明後、自民、公明に推薦を願い出た。三反園氏は「両党の支援を得て県政運営をしているから」と説明する。

 保守地盤の鹿児島。参院選鹿児島選挙区では改選数が2から1になった2001年以降、自民が7連勝。知事選は参院選同様、全県を選挙区とするだけに自民の動向が鍵を握る。

 県議会(定数51)の38議席を占める自民県議団は昨年12月中旬、三反園氏の推薦願の対応を協議。ヒアリングの結果、3分の1強が「自民の政策を進めている」などと推薦を求めたが、「反対」「時期尚早」などが上回ったという。判断を委ねられた県連は同22日、結論を先送りした。森山裕県連会長は「誰に県政を託すかは慎重に選びたい」と話す。

 すんなりと自民が三反園氏の推薦に踏み切れない背景に、昨夏の参院選のしこりをみる向きもある。自民現職の尾辻秀久氏(79)の対抗馬として、元自民県議の前田終止氏(72)が立候補。前田氏の陣営には三反園氏の後援会幹部が入っていた。厚生労働相を務めた尾辻氏は、三反園氏の公約の女性副知事登用に力を貸し、同省からの派遣を実現したとされる。「恩人に弓を引いた」との感情が拭えない県議もおり、三反園氏は上京の際、たびたび自民党本部を訪問し幹部に面会。推薦への力添えを依頼しているという。

 4人が立候補した2004年の知事選で自民県連は県議会議長(当時)を推薦したが、「党員党友の良識に委ねる」として他候補の支援を認め、分裂選挙となった。ある自民県議は「16年前と同じで、県連が一本化することはない」と指摘する。(上野和重)

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