健康と夢を犠牲にした事実見て 水俣病未認定患者訴訟、3月13日判決

西日本新聞 社会面 鶴 善行

 胎児、幼児期にメチル水銀の汚染被害を受けたとして、未認定患者でつくる水俣病被害者互助会の8人が国と熊本県、原因企業チッソに計約3億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審が10日、福岡高裁(西井和徒裁判長)で結審した。判決は3月13日。

 10日は原告全員が意見陳述した。原告団長の佐藤英樹さん(65)は毎食のように魚介類を食べていたことを振り返り、「私は偽患者ではありません。弱い立場の被害者を救う正しい判断をお願いします」と強調。緒方博文さん(63)は「地域発展の名の下に私の健康と夢を犠牲にした事実を見てほしい。水俣病は終わっていません」と訴えた。

 原告は熊本、鹿児島両県の50~60代の男女8人。うち7人は水俣病認定患者に支給される一時金と同等の1人当たり1600万円を求め、重い症状の1人は約1億9千万円を請求している。8人は水俣病研究の第一人者だった故原田正純医師に水俣病と診断されたが、自治体からは水俣病患者と認定されていない。

 最大の争点は、原告が水俣病と認められるかどうか。原告側は8人の居住地などを踏まえ、メチル水銀を含んだ魚介類を多食したことは明らかだと主張。控訴審では診察した医師2人も原告側証人として出廷し、病院で実施した検診や他の医療機関で作成されたカルテなどを基に「(水俣病以外の)別の疾患では説明できない」と述べた。

 国や熊本県は、水俣病の典型症状である感覚障害を訴える原告らについて、心因性や糖尿病など別の疾患によるものだと反論。原告側証人の医師の診断手法は一般的ではなく、汚染魚などを多食した客観的証拠も乏しいとしている。

 2014年3月の一審熊本地裁判決は、原告8人のうち3人を水俣病と認め、国などに計約1億1千万円を支払うよう命じた。5人は家族に認定患者がいないことなどを理由に請求を棄却。原告、国と県など双方が控訴していた。

 原告のうち7人は熊本、鹿児島両県に水俣病患者認定の義務付けと認定申請棄却処分の取り消しを求めた訴訟も起こしており、熊本地裁で係争中。 (鶴善行)

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