八幡製鉄所が電磁鋼板増強へ EV向け、年内にも100億円投資

西日本新聞 一面 中野 雄策

 日本製鉄は、八幡製鉄所(北九州市)で電動自動車のモーターに使う電磁鋼板の生産能力を2020年にも増強する方針を固めた。世界的に環境規制が厳しくなる中、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の性能を高める鋼板の供給体制を整え、収益力の向上につなげる。投資額は100億円程度を見込む。

 日鉄関係者によると、増強を検討しているのは同製鉄所八幡地区の生産ライン。鉄を鋼板に加工する「下工程」の設備を大幅に改修し、電磁鋼板の高性能化と生産量増加を図る。20年内に着工する方針だ。

 日鉄は経営合理化策の一環として、4月に八幡製鉄所と大分製鉄所(大分市)を統合し、名称を「九州製鉄所」に変更する。約120年の歴史がある「八幡製鉄所」は消えるが、付加価値が高い電磁鋼板の生産拠点としての役割を強める。

 同製鉄所は、自動車メーカーの完成車工場が周辺に集積し、EVやHVの需要増加が見込める中国にも近い利点がある。19年には460億円を投じて設備増強することを決めており、さらなる増強に向けて今回の追加投資に踏み切る。

 電磁鋼板は、広畑製鉄所(兵庫県姫路市)を含む国内2拠点で生産。日系自動車メーカーの採用が増えているほか、変圧器向けもインドなど新興国経済の成長で市場拡大が見込める。

 日鉄は米中貿易摩擦長期化などで業績が急速に悪化しており、橋本英二社長は今月6日の年頭あいさつで「本体事業の赤字が継続、拡大する極めて危機的な状況だ」と指摘した。20年度までの3カ年の設備投資総額を1割程度減らすなど経営合理化を進める一方、業績回復に向け「電磁鋼板の戦略投資は続ける」(幹部)という。 (中野雄策)

電磁鋼板】モーターや変圧器などの鉄心に使う材料で電気エネルギーを回転力などに変換する。電動自動車の普及拡大にはエネルギー損失を少なくするため、より薄い鋼板が必要になる。日本製鉄は、世界の自動車向け需要は2025年度に17年度から約7倍に増えると試算。中韓企業が追い上げる中、日本企業は高い安全性が要求される電動自動車向けの高付加価値品として生産を強化する。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ