触れて 歴史 指先から 九博 視覚障害者向け展示 「世界広がる」

西日本新聞 夕刊

 今秋開館15周年を迎える九州国立博物館(福岡県太宰府市、島谷弘幸館長)が、視覚障害のある人も作品を身近に感じ、より楽しめるよう工夫を凝らした展示やワークショップを模索している。さまざまな人が満足できるミュージアムを目指す九博の取り組みをカメラで追った。

 昨年12月、特別展「三国志」の会場での光景だ。閉館後にもかかわらず、視覚障害者ら14人が、三国志にまつわる武器や服飾のレプリカを指先で熱心に触れる姿があった。同館が実験的に企画したイベントに、福岡県朝倉市から参加した川島テル子さん(76)は「解説を耳から聞くだけでは具体的なイメージが膨らまない。自分の手で形に触れ、歴史に思いをはせることで一気に世界が広がる」と満足そうに話した。

 「展示室の照明が暗いため、じっくり鑑賞できない」「解説が全盲や弱視の人には分かりにくい」。同館に寄せられた視覚障害者団体からの切実な声だ。これまでにも、特別支援学校などを対象にした催しに取り組んできたが、作品解説は口頭にとどまるなど、展示は決して十分とはいえなかった。こうした経緯に先立ち、2016年には障害者差別解消法が施行したことを受け、全国各地の美術館の取り組みを調べる一方、より丁寧でわかりやすい「見せ方」について試行錯誤を続けてきた。

 「触れて知る」。これを最重要課題と位置づけた同館は、展示作品の精巧な模型作りのほか、点字や凹凸を施した解説資料の作成など、鑑賞者が積極的に作品に関われるような参加型の展示に着想した。

 同館展示課の茂泉千尋さん(39)は「見ることが中心の博物館で視覚障害者が満足できれば、子どもや大人はもっと充実した時間を過ごせる。多くの人がより親しめる博物館にしたい」と語った。

「手話通訳ツアー」17日まで参加募集

 九州国立博物館は、2月1日午後2時から、主に聴覚に障害がある人を対象に、展示の舞台裏を紹介するイベント「手話通訳付きバックヤードツアー」を開く。定員20人。1月17日まで募集し、多数のときは抽選を行う。同博物館交流課=電話092(929)3294、ファクス=092(929)3980。

(文と写真・帖地洸平)

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