原点は福岡・天神のダンススタジオ ミュージカル俳優 井上芳雄さん

西日本新聞 坂本 沙智

 さまざまなミュージカルで主演を務め、テレビ出演で注目を集める福岡市出身の井上芳雄さんが、今年も故郷での公演を予定しています。出演する舞台の見どころや、福岡での思い出、休日の過ごし方などを語ってもらいました。

 -ミュージカル俳優を目指したきっかけは。

 ★井上 小学生の時に、福岡市であった劇団四季「キャッツ」の公演を見たことです。俳優になろうと決めて、レッスンを始めました。

 -福岡での思い出の場所は?

 ★井上 中学2年から、福岡市・天神にあるジャズダンススタジオに、多いときは週5回通っていました。当時、ミュージカルについて話せる人があまりいない中で、先生にはショービジネスの心構えを教えてもらいました。レッスン後に、屋台でラーメンをごちそうしてもらうこともあり、本当にお世話になりました。今も福岡での舞台を見に来てくれるんですよ。

 -昨秋には、劇作家・故井上ひさしの戯曲「組曲虐殺」を博多座で公演しました。

 ★井上 組曲虐殺は、プロレタリア作家の小林多喜二が、言論弾圧される時代にも希望を失わずに生きるストーリー。2009年、12年に続き3度目ですが、初演の頃は、こんな時代もあったのかと驚きでした。表現の自由が頻繁に取りざたされるようになった昨今「このエピソードは今と似ている」と感じることがあります。

 -2月には「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」が、福岡市民会館で上演されます。

 ★井上 オリジナルのミュージカルを公演する音楽座の代表作です。1988年の初演時、僕はミュージカルに興味はありましたが、福岡で頻繁に見ることはできませんでした。ビデオで何度も見た好きな作品ですし、日本の作品でこんなに素晴らしいものがあるということ伝えたいです。

 -今夏、井上さんと縁の深い「エリザベート」の福岡公演もあります。

 ★井上 大学在学中に、皇太子ルドルフ役でデビューしました。当時に比べて、ミュージカルの環境は大きく変わっています。元々好きな人は今のキャストによる新しい発見があるだろうし、初めての人もドラマチックなストーリーが楽しめます。

 -デビュー当時と比べて、どう変化したのでしょうか。

 ★井上 単純にお客さんが増えましたね。ミュージカル俳優になりたいという若い人も増えて、ジャンルも多様化しました。ミュージカルそのものが、定着してきていると思います。

 -なぜ定着してきたと思いますか。

 ★井上 日本人が歌って踊る人たちに慣れたんでしょうね。学校でもダンスが必修になりましたし。ハロウィーンで仮装して自分を表現したりして、時代が変わったんでしょうね。

 -第一線で活躍を続ける井上さんの力でしょうか。

 ★井上 僕が何かしたわけではないです(笑)。普通のセリフを話すよりも、歌いながら表現する方が伝わりやすいじゃないですか。ただ、それが好きなだけなんです。自分の後に続く人の可能性をつぶしたくはないと頑張ってきましたね。

 -休日の過ごし方は。

 ★井上 中学生と幼児の息子2人がいるので、手いっぱいです。一緒に買い物に行ったり、子守をしたりしたら、すぐに一日が終わってしまいます。息子がダンスや歌に興味があるみたいなので、歌ってあやすこともしますよ。

 -九州での理想のデートプランを教えてください。

 ★井上 うーん…。西南学院高時代によく行った、福岡タワーや周辺の海岸沿いですかね。夏には、西新商店街のかき氷も、食べに行ってました。あと、福岡のうどんが大好きです。麺の「やわ」はもちろん、やっぱりダシが東京とは違うんですよ。

 (文・坂本沙智、写真・帖地洸平)

 ▼いのうえ・よしお 1979年生まれ。福岡市出身。東京芸術大音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年、ミュージカル「エリザベート」の皇太子ルドルフ役でデビュー。その後、「エリザベート」の黄泉の帝王トート役を演じたほか、「グレート・ギャツビー」「モーツァルト!」などの主役を務める。

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