職業性アレルギー 職場で認識を【続・産業医が診る働き方改革6】

西日本新聞

 職業に関連して起こるアレルギーのことを「職業性アレルギー」といいます。症状によって職業性喘息(ぜんそく)、職業性アレルギー性鼻炎、職業性皮膚疾患などに分類されます。

 相葉聡さん(23)=仮名=は1年前から強化プラスチック製ボートの製造会社でウレタンフォーム発泡作業に従事していますが、1カ月前から勤務中に咳(せき)や「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)症状が続いていました。心配した同僚が病院に行くように勧めましたが、相葉さんは「ただの風邪だろう。病院に行くのは面倒だ」と取り合いません。上司と同僚に説得されて、しぶしぶ産業医の面談を受けました。

 産業医は時間をかけて、(1)症状は休日には軽くなること(2)長期の休日中には消失していたこと(3)鼻炎の症状も数カ月前から発症していたこと(4)呼吸用保護具を正しく着用していなかったこと-を聞き取りました。職業性喘息を疑った産業医の勧めで大学病院を受診して検査を行った結果、ウレタンフォームの原料であるイソシアネートという化学物質が原因で、職業性喘息を発症していることが分かりました。相葉さんは製造部から事務部へと職場を変わりました。

 職場を変わり、幸いにして相葉さんの喘息症状は改善しました。しかし、全ての職業性アレルギー患者の症状が改善するとは限りません。正常に回復するための重要な点は、(1)診断時に正常な呼吸機能であること(2)診断前の有症状期間が短いこと(3)原因物質にさらされる期間が短いこと-です。したがって、早期診断、早期治療と対策(原因物質を回避すること)が症状の改善には重要です。

 職業性アレルギーの原因物質は、植物性、動物性、薬剤、食品、金属、化学物質と非常に多く存在します。職場内に原因物質となり得る物質があるかどうか、その物質によってどのような症状が引き起こされる可能性があるのか。産業医とともに職場全体で認識しておくことが、職業性アレルギーの発症予防と早期診断につながります。(産業医大・辻真弓)

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