心臓弁膜症 健診でチェック【続・産業医が診る働き方改革8】

西日本新聞

 高橋誠治さん(58)=仮名=は地元デパートの営業マンです。健康診断で「心臓に雑音がある」と言われましたが、きついわけでもなく、そのままにしていました。

 そういえば最近、階段を上ると軽い息切れがあるようにも感じます。高橋さんは自宅で「心臓に雑音があると言われた」ことを話し、心配した奥さまに促され近所のクリニックに行きました。そこで「やはり心臓の雑音がありますね。早めに循環器専門医に診てもらってください」と言われ、専門医からは「心臓弁膜症です。症状もありますので早めに手術しましょう」となり、手術を受けて無事に退院しました。

 機械弁と呼ばれる金属やカーボンで作った人工弁を使いましたので、病院の医師から産業医宛てに「抗凝固薬を使用しているために出血しやすくなっており、血圧の厳重な管理(脳出血の予防)と外傷リスクが少ない職場環境が必要です。納豆を食べないように本人に指導しました」という意見書を送付してもらいました。産業医に外傷リスクの高くない仕事であることを確認してもらった上で、血圧上昇につながる長時間勤務や不規則勤務などを避けるよう手配してもらい、問題なく職場・社会復帰できました。

 高橋さんは今後も頑張れそうです。しかし弁膜症の患者さん全てがこのように問題を起こさないわけではありません。弁膜症では長らく無症状の期間があり、いったん症状が出ると比較的急速に悪化します。突然死や脳卒中を併発することも多く、病気が進んでからでは手術も難しくなります。心臓に雑音があると言われたら早めに専門医の診断を受けましょう。

 日本胸部外科学会の手術統計にあるように心臓弁膜症は増えています。手術には早すぎる無症状で軽症の時期に診断を受けて、専門医で定期的(年に1回など)にフォローしてもらい、時期がきたら手術を受けるのがベストです。

 「心臓の手術を受けないといけないのか?」と感じる人も多いと思いますが、「手術を受ければ質の高い生活を送れる」希望の大きい病気です。健康診断の心臓雑音チェックは早期診断のとても良い機会です。手術後の職場復帰に際しては担当医と産業医によく相談しましょう。(産業医大・尾辻豊)

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