三つのキーワードに力点 出口治明氏

西日本新聞 オピニオン面

◆国際人材育成

 立命館アジア太平洋大(APU)では、「女性」「ダイバーシティ(多様性)」「高学歴」の三つのキーワードに沿って国際人材育成を進めている。幸いにも、92カ国・地域から約3千人の学生が集まっており、男女比率も半々。ダイバーシティ、女性という環境は整っている。

 なぜ三つのキーワードか。現在の世界経済に貢献しているのは主にサービス産業だが、推計ではユーザーの6~7割は女性だ。だとすれば、供給サイドでも女性が活躍しなければ、新しいアイデアは生まれない。にもかかわらず、日本の女性の社会的地位は、153カ国中121位(世界経済フォーラムのジェンダー指数)という体たらくだ。

 また、世界経済を牽引(けんいん)する米IT大手4社のGAFAや、その予備軍とされるユニコーン(時価総額10億ドル以上のベンチャー)企業で働く人には、多国籍でダブルマスター(修士)やダブルドクター(博士)が大勢いる。彼らが議論を重ねる中から、新しいアイデアが生まれる。ラグビーW杯の日本チームのように、多国籍は強さの源泉だ。

 平成経済を振り返ってみると、わが国のGDP(購買力平価ベース)の世界シェアは9%から4%強に半減。国際競争力(IMD)は1位から30位に低下した。平成元年の世界のトップ企業20社(時価評価)を見ると日本企業が14社を占めていたが、現在はゼロ。ここ30年間、日本経済が停滞したことは明らかである。

 主因はGAFAやユニコーン企業を生み出せなかったからだ。調査によると、ユニコーンは昨夏現在、380社あるが、日本はわずか3社。これを生み出す原動力は、女性、ダイバーシティ、高学歴の三つとされる。しかし、日本の企業社会では、例えば大学院修了者はあまり大事にされない。三つのキーワードに逆行しているのだ。だから、APUは、別府の地から原動力づくりに取り組んでいく。

 人は価値観や人生観という色眼鏡をかけて世界を見る。自然に見るためには、タテ(昔の人の言うことを聞く)、ヨコ(世界の人の言うことを聞く)、算数(エピソードでなくデータで考える)という手法が必要と考える。

 経済データから、国際人材育成の三つのキーワードを紡いだ。加えて「考える力」を鍛え、人、本、旅を通して学び続ける学生も育てたい。

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 出口 治明(でぐち・はるあき)立命館アジア太平洋大(APU)学長 1948年、三重県生まれ。72年京大法学部卒、日本生命入社。2008年ライフネット生命開業。社長、会長を歴任。18年1月から立命館アジア太平洋大学長。

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