肝炎 疲労続けば専門医に【続・産業医が診る働き方改革9】

西日本新聞

 営業職として働く伊藤太郎さん(55)=仮名=が産業医を訪ねました。健康診断で肝機能障害を指摘され、産業医から受診勧奨されていたのですが、残業続きの忙しさの中、医療機関に行けずにいました。今回、疲労感を自覚するようになったため、自主的に産業医に相談したのです。

 早速、有給休暇を取得し、産業医に紹介された肝臓専門医を受診したところ、結果はC型肝炎ウイルスによる肝硬変の状態。すぐに抗ウイルス薬治療が行われ、肝炎の安定化を得ることができました。また働き方の見直しで、無理な残業を減らすことができ、以前のような疲労感を自覚することもなくなりました。

 肝炎とは肝臓に炎症を生じた状態で、その原因はさまざまですが、わが国では多くが肝炎ウイルスに起因しています。肝炎初期の状態では自覚症状はなく、肝硬変へと進行すると疲労感などを自覚することがあります。また無症状で末期肝硬変から肝がんへと進行してしまう場合もあります。伊藤さんはC型肝炎ウイルスによる肝硬変の状態でしたが、抗ウイルス薬治療でC型肝炎ウイルスを駆逐することができました。

 C型肝炎ウイルスに対しては、以前はインターフェロン注射での治療が主流でしたが、駆逐できる確率は50~80%と高いとはいえず、副作用も強く出る治療でした。現在では、抗ウイルス薬という内服薬での治療で約98%もの高い確率で駆逐できるようになりました。ただし、治療には専門知識を要するため肝臓専門医の受診が望まれます。これまで忙しくて受診する時間がなかったという方にも、働き方改革による時間の確保により産業医は受診を勧めやすくなりました。

 また肝硬変の状態は健常者に比べ、エネルギー不足に陥りやすく、疲労感を自覚することも多くなります。伊藤さんも職場の理解を得て労働環境を整えたことにより、より健やかな生活を送ることができるようになりました。(産業医大・大江晋司、原田大)

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