HIV感染症 職場でうつらない【続・産業医が診る働き方改革11】

西日本新聞

 「私の感染症はうつるのでしょうか? 職場に行ってもいいですか? トライアスロンは続けてもいいのでしょうか?」。そうお尋ねになるのは、小林太一さん(43)=仮名=です。小林さんは、電子機器メーカーで経理を担当。トライアスロンが趣味で、よく海外の大会にも遠征されています。そんな小林さんが最近、HIV感染症と診断されました。

 HIV感染症は、HIVというウイルスが性行為などで体の中に入り込み、体の中の免疫という仕組みを壊して、普通の人がかからないような感染症を発症するエイズ(後天性免疫不全症候群)に至ります。小林さんの場合、基本的に職場で誰かにうつしてしまう危険性はないので、仕事は続けても構いませんし、趣味のトライアスロンを続けても全く問題はありません。

 感染症は正しく怖がらなければなりません。感染症は目に見えない細菌やウイルスが原因になってヒトからヒトに広まっていきます。この広まり方は、細菌やウイルスによって異なります。

 インフルエンザや結核のように咳(せき)やくしゃみが出る感染症では、咳やくしゃみをするときに出るしぶきの中にインフルエンザウイルスや結核菌がいて、1~2メートル飛ぶといわれています。これを別のヒトが吸い込むと感染が起こります。この場合、マスクを着用することが感染予防になります。

 病院での薬剤耐性菌の集団発生が時々報道されますが、この薬剤耐性菌は本人や医療従事者の手を介して広まっていきます。この場合、手洗いをすることが感染予防になります。

 そして、このHIV感染症は性行為などの特定の状況で感染しますが、日常生活で感染することはありません。ですので、HIV感染症だからといって休職したり、退職したりする必要はないのです。性行為の際のコンドーム着用が感染予防になります。

 感染症にかかったときは無理せず休むのが基本ですが、感染症によっては普通に仕事ができる場合もあります。小林さんも産業医との面談でアドバイスをもらい、安心して現在も仕事にトライアスロンに奮闘中です。(産業医大・鈴木克典)

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