産業医の教える技術 研修で向上【続・産業医が診る働き方改革15】

西日本新聞

 スーパーマーケットに勤務する山口和人さん(40)=仮名=は昨年、人事から糖尿病予防研修に呼ばれました。定期健康診断の結果、糖尿病の危険を示す値が高かったのです。山口さんは何も自覚症状がないのでぶぜんとして研修会に参加しましたが、講師である産業医のA先生は、難しい医学知識や統計の話を延々と続けるばかり。「夕飯は20時までに」と言われても遅番の日は仕事の真っ最中で、現実感がありません。山口さんはいつの間にか居眠りをしてしまいました。

 1年後、山口さんの数値は改善せず同様の研修に呼ばれ、うんざりして出掛けました。ところが講師は昨年とは違うB先生で、専門的な話はほとんどなく、生活実感にあふれる話を平易な言葉でされました。改善指導も山口さんたちの業務内容を熟知され、それに合わせた助言をしてくれました。山口さんはB先生の話に引き込まれ、いつの間にか「今日から生活習慣を改めよう」と考えていました。

 実はB先生は教える技術を磨いていました。B先生が身に付けていた「教える技術」がInstructional Design(教育設計、通称ID)です。これは「教育の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセス」(鈴木、2005)を意味します。要はうまい教え方の追求です。

 産業医科大学では、在学中、そして卒業後にわたり、このIDをベースにした「教え方の教育」を行っています。卒業生のみならず他学出身の先生方にも、さまざまな研修会にてこのプログラムを提供し、広く産業医・産業保健の教育技術のレベルアップに貢献しています。

 例えば「産業医科大学首都圏プレミアムセミナー」では、産業医はもちろん、看護職や人事スタッフなど、広く産業保健に携わる方を対象にこの教え方の研修会を開催しています。関心のある方はぜひホームページ(「産業医大 プレミアム」検索、https://premium.med.uoeh‐u.ac.jp/)をのぞいてみてください。(産業医大・柴田喜幸)=おわり

PR

医療・健康 アクセスランキング

PR

注目のテーマ