辺野古移設 ゼロからの見直し必要だ

西日本新聞 オピニオン面

 こんな計画は事実上破綻しているのではないか。ゼロからの再検討が求められる。

 防衛省は12月末、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画について、工期や工費を再試算した見直し案を発表した。

 見直し案によると、工期は当初想定の5年から約9年3カ月に延び、飛行場整備も含めた事業完了に必要な期間は約12年となる。総工費も当初計画額の約2・7倍となる約9300億円にまで膨張するという。

 民間の事業計画なら、これだけ期間や予算に狂いが出れば、計画それ自体が妥当であるかどうか、一から見直すだろう。

 しかし政府は相変わらず「辺野古が唯一の解決策」として移設事業を強行する構えなのだから、驚くばかりである。

 政府が今回、工期や工費を再試算したのは、埋め立て予定地の海底に「マヨネーズ状」とされるほどの軟弱地盤があることが明らかになったからだ。難工事が予想されるため、工期も工費も押し上げた格好だ。

 この軟弱地盤について、政府は2016年時点で把握していたにもかかわらず、18年12月に埋め立て工事を強行して移設の既成事実化を図った。不都合な事実を棚上げして着工し、その後で計画を再試算するやり方は姑息(こそく)すぎる。沖縄県が政府に不信感を抱くのも当然である。

 今回の計画見直しにより、辺野古の新飛行場供用開始とセットになる普天間飛行場返還の時期は、日米合意の「22年度またはその後」から、30年代以降へと大きくずれ込むことになる。その間、普天間飛行場の近隣住民は事故のリスクや騒音被害にさらされ続ける。

 政府はこの際、誤算続きの辺野古移設に固執するのをやめ、辺野古移設と切り離して普天間飛行場の早期返還を米国側に要求すべきではないか。

 同時に、米国が沖縄に海兵隊を維持する意義についても、米国とともに再検討してほしい。

 このまま計画を強行しても、辺野古の新飛行場供用は30年代半ばとなる。東アジアの安全保障環境が変化し、各国ともミサイル開発に力点を移す中、上陸部隊主体の海兵隊を沖縄に置き続けることが、30年代半ばの時点でどれだけの有効性を持つのか。明確な説明が求められる。

 沖縄県では昨年2月に県民投票が実施され、投票者の7割超が辺野古埋め立てに反対した。政府はいつまで、この明白な民意から目を背け続けるのか。

 「沖縄の基地負担軽減」を根本に据え、辺野古移設計画そのものの妥当性を、もう一度米国と協議する。それこそが政府の取り組むべき仕事である。

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