太宰府観光「脱・天満宮集中」探る 宿泊施設相次ぎ開業、滞在型へ

西日本新聞 ふくおか都市圏版 南里 義則

 福岡県太宰府市では、昨春の令和発表以降、全国区の観光地として太宰府天満宮に集中していた観光客の流れに変化が起き、市中心部の大宰府政庁跡(国特別史跡)やその北西の坂本八幡宮、政庁跡東の大宰府展示館への観光客が激増した。さらに、宿泊施設が相次いでオープンするなど通過型の典型とされていた同市観光の構造にも変化の兆しが見え始めている。

 昨年12月24日、天満宮に程近い同市三条の四王寺山麓に、民泊施設「ゲストハウス太宰府」がオープンした。オーナーは、地方自治体の嘱託職員で伝統民芸品「木うそ」保存会会員の柳智子さん(44)。ユースホステルだった建物をリフォームして開業した。

 柳さんによると、1970年代ごろから営業していた旧ユースホステルは、ブームの下火とともに閉鎖。その後「B&Bゲストハウス」と看板を変えて営業したが、10年以上前に廃業。4年前に柳さんが建物を購入していた。

 宿泊料7700円(3月末まで)で、部屋は3室(6人)。金曜日~日曜日の限定で営業する。ハウスのシンボルマークは、自らが保存・普及に取り組む木うその原木「コシアブラ」の葉。デザインの専門家に作ってもらった。「マークで強調された葉脈は、人とのつながりを表します」と柳さん。

 2018年の民泊新法で規制が緩やかになったのをきっかけに開業を決断した。動機について「地元の住民から『親戚が来るので泊めて』と頼まれることが度々あった」と話すが、新元号ゆかりの地として脚光を浴びる同市で「周遊観光を促進する施設の一つとなれば」と期待する。「九州国立博物館も近く、週末のイベントや学会の参加者にも利用してもらいたい」という柳さん。住民の親戚から観光客、学会参加者までターゲットは幅広い。

 現地は古代山城「大野城」跡(国特別史跡)の麓に位置し、すぐ近くに中世に足利尊氏も一時滞在したとされる寺院遺跡「原山」(昨年、特別史跡に追加指定)がある。客室から遠く脊振山が望め、太宰府天満宮にも歩いて行ける距離だ。観光関係者は「政庁跡周辺から四王寺山麓の『歴史の散歩道』経由で天満宮に向かう周遊観光にも実現の兆しが見えてきた」と話す。

 同市では昨年10月、天満宮近くで、分散型古民家ホテルの拠点棟が開業した。同市の藤田彰観光経済部長は「今回のゲストハウスに加えて五条地区でも別の民泊施設が開業し、他にも宿泊施設を目指す動きがある。夜の食を提供する場も増えており、通過型から滞在型観光への過渡期ではないか」と期待を込めて分析している。 (南里義則)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ