県鳥カササギ減った? 分布域、佐賀県外に拡大 天敵カラス増 影響か

西日本新聞 佐賀版 北島 剛

 佐賀県神埼市出身の筆者が18年ぶりに県内に戻り、ある変化に気付いた。「カササギの鳴き声が聞こえない」。県鳥のカササギの数がもしや減っているのではないかと思い、生息状況などを調べてみた。今年最初の「かささぎ通信」は、文字通りカササギの今を報告する。

 カササギはカラスの仲間で、黒い頭と白い腹部のツートンカラーが特徴だ。「カチカチ」という鳴き声から「カチガラス」と呼ぶ県民も多い。海外では欧州や北米など北半球に広く分布するが、国内では佐賀平野など有明海周辺地域に集中して生息。1923年に生息地が天然記念物に指定されており、県内は佐賀市、鳥栖市、多久市、武雄市、鹿島市、小城市、嬉野市、神埼市、吉野ケ里町、基山町、みやき町、上峰町、大町町、江北町、白石町、太良町の16市町が対象だ。

 まずはカササギ探し。昨年12月下旬、その名も「カササギ」という会報を毎月発行している「佐賀野鳥の会」事務局の久我浩人さん(57)=佐賀市=の案内で、よく飛来するという神野公園(同市神園)を訪ねた。メジロなど多くの鳥が飛ぶ中、きょろきょろ探していると、建物の屋根の上にカササギを見つけた。

 久我さんは「確かに減っている感覚はある」と話す。理由の一つに挙げたのは天敵カラスの増加。カササギのひなを襲うところを見るそうだ。さらに「長い距離を飛べないけれど、鉄道沿いに県外へと分布を広げている」と推測する。

 県文化財保護室によると、県民から「数が減っていないか」と心配する声が寄せられている。佐賀市で減った一方、天然記念物の指定範囲外の唐津市でも確認されている。

 巣1個当たり2羽が生息すると換算しており、県教委が2011~13年度に行った調査分析結果の報告書によると、カササギの数は90年代の約2万羽から約1万羽に半減。ただし、絶滅を危ぶむ状況にはないとしている。天敵のカラスとの因果関係は特定できておらず、減少した理由の一つに佐賀市近辺で都市化が進んだ影響を指摘した。

 同室の担当者は「福岡や大分など県外でも目撃情報がある。カササギが減ったのではなく、分布域を広げた」と説明する。

   ◇    ◇ 

 カササギは2~5月に巣を作る。材料に木の枝だけでなく針金などを使うため、停電事故を起こす危険性がある。九電は12月から5月にかけ、巣が電線に接触しないかを巡視。文化庁や県などに許可申請を提出して、電線に近いような危険な場所の巣を除去して、営巣数を調査している。県への報告によると、県内の営巣数は11年に4272個だったが、19年は2556個に減った。

 九電では卵やひなが巣にいた場合はそのままにして、枝の剪定(せんてい)や金属の撤去で対処。電線に触れずに巣が作りやすいような空間を電柱近くに設け、作ってほしくない電柱には近づかないようにプロペラを設けている。これからの時季、巣作りが本格化するため「電柱に巣作りをしていたら連絡してほしい」と九電の担当者。

 県鳥カササギを見る機会はこのまま減ってしまうのか。日本野鳥の会県支部の宮原明幸支部長(66)=佐賀市=は「カササギだけでなく鳥全体が減っている」と嘆く。都市開発や人間の暮らしにより環境が変化。生態系のバランスが壊れてきていると指摘する。

 例えば、人間が出す生ごみは餌となり、カササギを襲う天敵のカラスの増加につながる。宮原さんは「カササギがいなくなってから気付いても遅い。自然にもっと目を向けてほしい」と対策の必要性を語った。 (北島剛)

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