弾劾、新証言の可否焦点 米上院が21日にも実質審議

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領ウクライナ疑惑に絡む議会上院での弾劾裁判の実質的な審議が21日にも始まる見通しとなった。野党民主党は「公正な裁判には新証人の招致が必要」と主張。だが、トランプ氏に不利になりかねない新たな証言は避けて無罪判決を月内にも出したい与党共和党の確約はない。共和党内からも証人招致に前向きな意見が浮上するなど、トランプ氏の罷免を巡る与野党の最終攻防は、波乱要因を抱えながら火ぶたが切られる。

 「米国民は真実を知る権利がある」。下院民主党を率いるペロシ議長は14日、トランプ氏の弾劾訴追決議を上院に送付する考えを示し、こう主張。追加調査の必要性を訴えて上院多数派の共和党をけん制した。

 昨年12月18日の決議可決後、あえて上院への送付を遅らせ「共和党は真相解明に消極的」との世論形成をもくろんだペロシ氏。だがその戦略は、共和党がこうした要求を拒否し続けており、今のところ奏功していない。ペロシ氏が有効な攻め手を見いだせず結局、決議を送付せざるを得なくなったとの指摘が広がる。

 ただ、弾劾裁判の幕引きを急ぎたい共和党内の足並みは、完全に一致しているわけではない。

 「弾劾訴追された史上3人目の大統領」という不名誉な事態に猛烈な嫌悪感を示すトランプ氏は、上院共和党に対して決議を退け弾劾裁判を開催しないよう求めたものの、公正さに疑義を生じさせる要求に共和党内の理解は広がらない。

 加えて、トランプ政権で安全保障担当だったボルトン前大統領補佐官が今月、弾劾裁判での証言に応じる考えを表明。世論調査では同氏の証言が必要との意見が多く、11月の大統領選と同時に行われる議会選で再選に向けて民主支持層も取り込みたい議員など複数が理解を示し始めた。

 上院の勢力図は共和53、民主系47。共和から招致に賛成する議員が4人以上出れば、「無罪になる」との見方が大勢の弾劾裁判の行方に不透明感が高まる。「弾劾はでっち上げ」と有権者に印象づけたいトランプ氏が、党内の締め付けやボルトン氏の証言阻止に躍起になるのは必至だ。

 一方、共和党がボルトン氏の招致を認めれば、ウクライナ疑惑に巻き込まれている民主党の大統領候補バイデン前副大統領や、その息子の招致を求める可能性が高い。さらに裁判が長引けば、バイデン氏と候補指名を争う上院議員たちは裁判の審議に出席しなければならず、2月からの党内の予備選挙などに向けた活動に支障が出る恐れもある。

 与野党双方が不安材料を抱えながら、弾劾問題は大詰めの局面を迎える。

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