大人用のオムツを 連載・霹靂の日々【9】大島一樹

西日本新聞

 私は東日本大震災の数日前から、仕事は再開していました。原発事故の報は、仕事現場で聞きました。「原発なら大丈夫なんじゃないの?」と、仕事仲間と根拠のない会話をしていた覚えがあります。今思うと、安全神話をうのみにしていたんでしょう。オクサンのことも、まだまだ頭の大半を占領していました。

 その頃からだったでしょうか、ネット上に「日本を応援している」「祈っている」といった海外からの動画やニュースが出始めていました。そういったものを目にするたびに、オクサンや家族の状況と被災者が重なるように感じて、涙する自分。マクロとミクロの出来事ですが、心情的に通じる部分があったのかもしれません。

 救命救急センターへ連日通う日々。オクサンの実家にお世話になりつつ、子どもたちと自分の日常をどう取り戻せるか、もがいていました。オクサンの状況は一進一退から抜け出し、回復に向かうのでは、と思えるような感触。担当医師からは相変わらず、良い言葉は聞けませんでしたが。

 その頃、驚いたことがありました。センターの看護師の方から「大人用のオムツを持って来てください」と言われたのです。意外だった入院用品。買いに行った時に、何か情けないような、「早すぎる」といった感覚。当たり前に必要なモノなのですが、改めて普通の入院ではないのだな、と感じました。 (音楽プロデューサー、佐賀県みやき町)

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