しっくい塗りの塀、市民の募金で復元へ 小郡市の平田家住宅

西日本新聞 筑後版 大矢 和世

 福岡県小郡市指定文化財の「平田家住宅」(小郡市小郡)で、国道に面した塀(高さ2・35メートル、長さ約6メートル)の復元工事が4月から行われる。住宅の管理運営を担う認定NPO法人が市民から復元資金を募り、昨年末、工事に必要な約800万円に達した。所有する小郡市ではなく、同法人が資金集めから工事の発注や監理(監修)までを一括して行う予定で、県文化財保護課によると、こうした方式による復元は県内初という。

 復元の主体となるのは、住宅の管理運営を担う認定NPO法人文化財保存工学研究室(理事長・土田充義鹿児島大名誉教授)。

 平田家住宅は幕末から昭和初期にかけて建てられた豪商の邸宅。主屋など建築物8棟と国登録記念物(名勝地)の庭園がある。昨年12月、平田家から市へ建物や土地の寄贈が完了した。

 文化財の復元は通常、所有者が主体となり行う。実際、2018年に復元完了した座敷は市が事業化し実施した。ただ、全面的な復元までには予算も時間もかかる。建築史が専門で、長年文化財の復元保存に携わってきた土田理事長は「市民の方々に『この保存を私たちがやったんだ』と思ってもらうことが大事。昭和初期、この住宅が最も充実していた頃の姿に、みんなで戻す第一歩」と、取り組みの意義を語る。

 今回復元するのは瓦を張り、しっくいで塗った塀。欠けていた部分を元の長さまで延長する。交通量の多い道に面し、いわば顔の部分だ。昨年10月から募金をはじめ、市内42法人と市民22人が賛同し、100万単位の寄付もあった。寄付の際、税制上の優遇措置がある認定NPO法人であることもプラスに働いたという。

 8日、現地を視察して土田理事長から報告を受けた加地良光市長は「大変困難な資金調達を成し遂げまずは感謝したい。市の大事な宝を復元する思いと努力を今後も共有したい」と話した。 (大矢和世)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ