長崎新幹線、国交省が5方式提案 佐賀県は協議入り合意せず (2ページ目)

■急ぐ国、認識の違いなお 佐賀県、なし崩しを警戒

 九州新幹線西九州(長崎)ルートを巡る議論は、与党が新鳥栖-武雄温泉を「フル規格」とする方針を決めて約5カ月を経ても平行線が続いている。佐賀県への配慮を強調しつつ協議入りを急ぐ国土交通省と、協議入りに含みを持たせながらも「フル規格化ありき」を警戒する佐賀県。2度のトップ会談で歩み寄ったかに見えた両者は、スタートラインの手前で立ち止まったままだ。

 「与党方針を前提にした協議であれば応じない」。佐賀県の南里隆・地域交流部長は16日、国交省の足立基成・幹線鉄道課長と面会後、報道陣の質問に慎重な言い回しに終始。協議入りを「可及的速やかに」とする国交省側との認識の違いを際立たせた。

 昨年12月11日、赤羽一嘉国交相と山口祥義知事は東京都内で会談し、協議に向けた検討を進めることで一致。国交省側は、佐賀県側が主張するフル規格以外の選択肢も含めた「幅広い協議」を呼び掛けた結果だとして「大きな前進」(赤羽氏)と評価した。

 だが一方の山口知事は、協議入りを促す県議会などの声に配慮して「議論を閉ざすことは考えていない」としつつも「協議に入るのが前提という意識はない」と公言。「幅広い協議」でなし崩し的にフル規格化を認めさせられるのは避けたいとみられる。

 当初計画のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)導入が断念された後に、県側が合意していないフル規格化方針が形成されたことへの不信感は佐賀県側に根強い。山口知事が主張してきた「5択」の協議を示されても簡単には応じないのは「これまで散々約束を破られてきたからだ」(県幹部)。

 ただ、佐賀県側が懸念する並行在来線の利便性悪化と財政負担の増加を巡り、“懐柔策”を探る動きも表面化しつつある。JR九州幹部は昨年11月の公明党佐賀県本部の会合で在来線について「経営分離を前提としない」と発言したとされる。財政負担を巡っても国交省幹部が「法的枠組みを変えてでも軽減は可能だ」と話すなど、佐賀県への配慮を強調している。

 与党決定を背負う国交省と、反発する佐賀県。九州の新たな“大動脈”を築くには、いずれ結論を見いださなければならない。「フル規格以外があり得ないことは知事も分かっている」(与党議員)「振り上げた拳をどう下ろすかを知事も探っている」(佐賀県議)といった見方も強まりつつある。 (森井徹、北島剛)

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