「#8000」つながらない?子の急病相談 利用急増、態勢に限界も

西日本新聞 社会面 押川 知美 金沢 皓介

 子どもの急な病気やけがの際、夜間や早朝に「#8000」の短縮番号で助言を受けられる「子ども医療電話相談」について、「何度かけてもつながらず、困った」という声が福岡県内の女性(25)から西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。子どもの不調に焦る親の「心の支え」となる窓口。徐々に浸透して利用者が増えており、受け付ける態勢の限界も浮かんでいる。

 女性は昨年9月の夜、生後0カ月の長女の腹部が膨れ上がっていることを不安に思い「#8000」に電話。複数回かけたがつながらず、自動音声で案内された別の地域の電話番号も同様だった。結局、地元の救急センターに電話して指示を仰ぎ、救急病院を受診したという。「見たこともない症状で、不安でパニックになった」と振り返る。

 女性は救急車を安易に利用しないために、妊娠中に知った#8000の番号を携帯電話に登録していた。「利用を呼び掛ける以上、十分な態勢で対応してほしい」と訴える。

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 少子化が進む中、小児科の夜間診療の利用者は近年増え、小児科医の負担は深刻化している。#8000は夜間外来での小児科医の負担や救急車の出動件数を減らす狙いがある。

 各都道府県の事業費の半分を国が負担し、2004年から順次実施。医師や看護師が休日や夜間に、年中無休で対応している。時間は各自治体で異なる。

 九州各県に取材すると、「つながらない」という苦情は、福岡県には年数件あり、鹿児島県は昨年1件届いたという。他の5県は「苦情はない」と回答した。

 無料通信アプリLINE(ライン)でつながるあな特通信員(フォロワー)約1万3千人に聞くと、50人以上から体験談が届いた。福岡県宮若市の女性(41)は「2回利用したが、病院の不正確な診察時間を教えられたり、症状を説明しても『ご自分で判断してください』と繰り返されたりした。〝二度あることは三度〟と思い、以後は利用していない」と話す。その上で「スマートフォンが普及しており、状況を映像で確認できるテレビ電話を導入したら正確な判断ができるのでは」と提案した。

 福岡市の女性(42)は「何度かけてもつながらず、救急車を呼んだら『これくらいの症状で呼ばないで』と搬送先の病院で怒られた」。福岡県大野城市の女性(34)は「焦っていた中、携帯電話をハンズフリーにしてつながるのを待ち続けた。心配でたまらなかった」と話す。

 福岡市の30代女性は、長男の生後1カ月の検診で「#8000」を案内するマグネットをもらい、冷蔵庫に張っていた。「何かあったときに判断してもらえる、お守りのような存在だった」という。

 ただ1年ほど前、当時2歳の長男が発熱し、深夜にけいれんを起こしたため、すがる思いで電話したが、10回以上かけてもつながらなかった。「気が動転し、ほかの番号を探すという余裕さえなかった。救急の際につながらないのでは意味がない」と語気を強めた。

 九州以外の通信員からも声が寄せられ、「3年間、かけても一度もつながったことがない」(名古屋市の38歳女性)といった冒頭の女性のような意見の一方、「すんなりつながった。地域格差があるかも」(高知県の通信員)との声もあった。

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 厚生労働省によると、17年度の全国の相談件数は94万件で、年々増えている。九州ではここ5年で相談件数はほぼ倍増しており、全国を上回るペースだ。

 過去に広島県で行った調査では、1時間に6件程度応答している間、話し中のために応答できなかった件数は4~8倍に上った。1回線当たりの子どもの人口も地域によって差があり、詳細なデータはないが、受け付ける電話回線の数が足りていないとみられる。

 福岡県の場合、午後7~11時は4医療機関の4回線で対応し、それ以外の時間帯は委託先のコールセンターが2回線で対応する。18年度の相談件数は約5万6千件、1日平均150件に上り、担当者は「回線拡充の必要性を認識している」と話す。

 九州では佐賀、大分、鹿児島の各県が1回線。佐賀県は「1件の相談時間が長いと、つながらなくなることも考えられる」としており、未応答が一定時間続くなどした場合、佐賀大医学部付属病院の小児科当直につながるようにしている。

 厚労省は「人員を増やすのには限界がある。相談の時間を短くするため、電話では慌てず症状を伝えてほしい」と呼び掛けている。 (金沢皓介、押川知美)

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