障害者が小学校で出前授業 北九州「生き方のデザイン研究所」派遣

西日本新聞 北九州版 米村 勇飛

共生社会の実現説く

 障害者自身が講師になって子どもたちに障害やバリアフリーについて考えてもらう出前授業に、北九州市小倉北区の一般社団法人「生き方のデザイン研究所」(遠山昌子代表理事)が取り組んでいる。障害者の日常生活や困っていることを直接聞き、一緒にゲームやクイズなどを楽しむ。障害をより身近に感じ、「多様なものの見方」を養うのが狙いだ。

 「私は自分が入ったお店がコンビニだと、どうやって確かめているでしょうか」

 盲導犬を連れた全盲の原槇奈々恵さん(44)がクイズを出す。児童は「自動ドアが開く時の音」「店の外のタバコのにおい」などと次々に声を上げる。

 原槇さんは「レジの音や店内の放送、店員さんの声などを手がかりにしている。最近はレジの近くでコーヒーの匂いがするのもヒントになる」と明かす。目が見えないので聴覚や触覚などを研ぎ澄まして生活していると説明すると、子どもたちは大きくうなずいた。

 昨年11月上旬、小倉北区の足原小で開いた出前授業には4年生約100人が参加した。原槇さんが講師役を務め、遠山さんたちがコーディネーターを務めた。

 自炊をしている原槇さんは「家では音声で温度を教えてくれるIHこんろを使っている」などと説明し、「キャッシュレス決済は小銭が要らず便利だが、タッチパネル式の自動販売機は点字がないので飲み物の種類が分からず不便」と語った。子どもたちは「自分にとって便利でも全員にとってそうではないことを知った」と感想を語った。

 授業は双方向性を重視する。児童は後日、講師の話を踏まえて学習した成果を発表する。

 同月下旬、八幡西区の上津役小では4年生が前回の授業で聞いた講師の話を踏まえ、班ごとに「ユニバーサルデザインの道具」「スポーツ」「交通」などのテーマで発表した。

 講師たちを前に「車いすごと乗れる車がある。もっと普及すれば、みんなが生きやすくなる」「災害時に障害がある人が着る緑色のベストがあることを調べて初めて知った」などと発表し、児童の1人は「ちょっと想像力を働かせると、みんなが幸せな社会になれると思った」と話した。

 同研究所は障害がある人もない人も誰もが暮らしやすい社会の実現を目指して2013年に設立。30~40人の障害者が講師役として登録し、小学校の出前授業は本年度は市内の小学校18校で実施。企業、団体向けの研修や、障害者と健常者が集うサロンの運営などに取り組んでいる。

 遠山代表理事は「障害者やバリアフリーに対する理解は徐々に浸透してきたと感じるが、子どもたちが日常的に障害のある人と接する機会は多くない。障害者が感じる不便さなどに触れて、周囲への多様な見方を養ってほしい」と話している。(米村勇飛)

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